マイクロソフト。バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、エリック・ロペスらが顧客向けリポートで選んだ銘柄で、ChatGPTの開発元OpenAI(オープンAI)に出資しているマイクロソフトが筆頭に挙げられているのは順当だろう。バンカメはマイクロソフトについて、AI関連サービスで最近成功を収めており、検索エンジン「Bing(ビング)」への対話型AIの導入もプラスに働くと高く評価している。目標株価は足元の水準より20%ほど高い300ドルに設定している。
グーグルの親会社アルファベット、フェイスブックの親会社メタ、中国の百度(バイドゥ)。文章や画像をつくりだす生成AI分野でマイクロソフト・オープンAI陣営と直接競合する企業で、いずれもこの分野に携わる部門を拡大すると明らかにしている。
アドビ、アリスタネットワークス(Arista Networks)、エヌビディア、パランティア(Palantir)、シャッターストック(Shutterstock)。これらの企業はAIに不可欠な技術を手がけていたり、すでにさまざまな用途でAIを活用したりしている。
アップル。世界最大の時価総額をほこるアップルは、競合するテック大手が対話型AI分野で激しく火花を散らすのを今のところ静観している。ただ、バンカメのアナリストのワムシー・モハンによると、アップルの場合、仮に自社製品のデフォルトの検索エンジンをグーグルとマイクロソフトによる入札制に切り替えれば、年間の手数料収入は現在よりもさらに数十億ドル増える可能性があるという(編集部注:グーグルは自社の検索エンジンをアップル製品でデフォルトの設定にしてもらうために、アップル側に毎年巨額の支払いをしているとされる)。
アジアのテクノロジー企業では日本のアドバンテストとHOYA、台湾のアルチップ(AIChip)とエイピア・グループ(Appier Group、編集部注:同社は日本で上場している)、台湾積体電路製造(TSMC)、中国の奇安信(Qi An Xin)が選ばれている。このほかイスラエルのテック企業ナイス(NICE)、ドイツのソフトウェア大手SAP、オランダの半導体メーカーASML、英国の情報サービス大手レレックスも買いが推奨されている。
バンカメのストラテジストらは別のリポートで、AIを「新しい電力」と表現。1990年代のインターネットのようにAIは「広く普及していく決定的な瞬間」にあるとし、ChatGPTような生成AIは「iPhone」が登場した際のような衝撃をもたらしたと述べている。
昨年11月に公開されたChatGPTは世界的に大きな話題を呼び、グーグルが長年保ってきた検索サービスの支配を突き崩すのではないかと注目を浴びている。グーグルが先月、対抗する対話型AIを発表したほか、中国の数社も相次いで同様のサービス開始を計画するなど、開発競争が一気に熱を帯びている。
(forbes.com 原文)