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2023.03.04

iPhone生産の「脱中国」加速 Foxconn、インドで工場新設へ

フォックスコンはインドでアップル製品の生産を拡大する計画だ(Jakub Porzycki/NurPhoto via Getty Images)

米Apple(アップル)の「iPhone(アイフォーン)」を受託生産している台湾のFoxconn(フォックスコン)が、インド南部カルナタカ州で7億ドル(約950億円)を投じる工場建設を計画していることが明らかになった。ブルームバーグが報じた。インドでのiPhone生産が大幅に増える可能性がある。インドの高官は、中国をめぐる懸念を背景にアップルは生産の25%をインドに移したい意向だと発言していた。

ブルームバーグによると、フォックスコンはインドのITハブであるベンガルール近郊の約120万平方メートルの敷地に工場を新設する計画。iPhoneの部品を生産する予定で、さらにiPhoneの組み立てを手がける可能性もあるという。

新工場では約10万人を雇用する見通し。この数は、中国河南省鄭州市にある世界最大のiPhone工場の3分の1ほどにあたる。

ブルームバーグのアナリストによれば、この工場が稼働すると、iPhoneの組み立てでインドの占める割合は現在の5%足らずから10〜15%に高まる可能性がある。

インドのピユーシュ・ゴヤル商工相は1月、アップルのインドでの生産比率はすでに約5〜7%にのぼっているとしたうえで、アップルはこの比率を25%に高めることをめざしていると述べていた。

ゴヤルはそれがいつごろ実現しそうかには言及しなかったが、25%という数字はアナリストらの予想とおおむね一致する。米JPモルガン・チェースは2022年、アップルが同年末までに現行の最新機種「iPhone 14」生産の5%をインドに移し、さらに25年までにすべてのiPhoneの25%をインドで生産するようになるとの見通しを示している。

インドでの生産、品質には課題も

ただ、アップルはインドのサプライチェーン(供給網)で品質管理問題に直面しているとも伝えられる。英紙フィナンシャル・タイムズの先月の記事によると、インドの財閥タタ・グループが運営するiPhoneの筐体(きょうたい)工場で生産される部品のうち、フォックスコンの組み立て工場に納入できる品質に達しているのは半分にすぎないという。記事ではアップルのインド事業の足かせとなっている障害として、官僚主義やインフラの制約、関税、物流を挙げている。

フォックスコンは世界最大のiPhone生産受託先で、工場の大半は中国本土にある。米中間の緊張の高まりを受けて、アップルが中国の工場への依存度を下げるべくインドでの生産拡大に動いているという話は、これまでもあった。フォックスコンによる今回の投資も、アップルの目標に沿った取り組みと考えられる。

アップルの中国事業は2022年、中国政府による厳格な新型コロナウイルス封じ込め政策の影響で混乱に見舞われた。「iPhoneの街」として知られる鄭州市にあり、iPhone 14の上位機種「Pro」と「Pro Plus」の生産をほぼ一手に引き受けているフォックスコンの工場では、政府の措置に対する抗議行動も起きた。その結果、2022年のiPhone 14の生産台数は目標を600万台近く下回った。

フォックスコンは今週、同じく南部のテランガナ州で電子機器の大型工場を建設する計画を発表しているが、アップル製品を生産するのかは不明。この工場も10万人規模の雇用を創出するとうたわれている。

フォックスコンの劉揚偉会長は今週インドを訪問し、ナレンドラ・モディ首相とも面会している。

forbes.com 原文

編集=江戸伸禎

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