フォードが運転支援システム企業「Latitude AI」を設立した理由

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2022年10月に自動運転開発企業アルゴAIへの投資を打ち切ったフォードは3月2日、自動運転支援システムの開発を手がける新子会社「ラティテュードAI(Latitude AI)」を立ち上げたと発表した。

ラティテュード社は、アルゴAIの本拠地だったピッツバーグに本社を置くフォードの100%子会社だ。同社は、フォードが近い将来、新たな収益を生み出すことを期待する運転支援システムの開発に注力する。

アルゴAIが開発していたレベル4と呼ばれる高度な自動運転テクノロジーは、高く評価され、2022年の半ばにはマイアミとオースティンで完全な無人運転を開始していた。しかし、フォードは、この技術が大規模なビジネスに結びつくのが、早くても2020年代後半になると予想し、投資の継続を打ち切った。

同社は、アルゴAIのチームの約4分の1にあたる550人を、ラティテュード社に移籍させ、アルゴAIが本社を置いていたピッツバーグに拠点を構える予定だ。ラティテュード社のCEOには、フォードのADAS(先進運転システム)部門のエグゼクティブ・ディレクターであるサミー・オマリが就任する。

フォードの子会社であるラティチュード社は、テック系のスタートアップと同様に従業員の報酬の一部を株式として提供することが可能で、従業員は将来のIPOから多くの利益を得ることを期待できる。また、ラティテュード社が他の自動車メーカーに製品を提供することも想定でき、親会社のフォードに浸透している旧来の自動車メーカーのカルチャーから距離を置き、迅速な経営を行うことも考えられる。

フォードのハンズフリー技術のブルークルーズの開発は遅延し、GMの同様な技術のスーパークルーズから5年遅れてリリースされた。ラティチュード社は、アルゴAIの技術を継承して、より早く進化できるかもしれない。フォードは、同社をモービルアイ(Mobileye)のような企業の競合に育てたいのかもしれない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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