米国医師会雑誌(JAMA)のオープンアクセス医学誌「JAMA Network Open」に結果をまとめた論文が掲載されたこの調査では、約2000人の銃保有者に銃の保管方法を聞いた。結果、58%以上が少なくとも1丁の銃を鍵をかけずに隠して保管、18%近くは鍵をかけず隠しもせずに保管していた。
最も多かった施錠保管方法は専用の銃器保管庫(gun safe)で、ケーブルロックやトリガーロック(引き金錠)を利用している人は少なかった。施錠保管していない人の50%近くが、施錠は必要ないと回答。44%以上が、鍵をかけると非常時の素早い対応が妨げられると答えた。
論文の著者らは、銃器保有者に安全な保管方法の利用を推進するためには、銃器保管庫の普及を促進すると共に、非常時に素早くく銃を取り出せないことに対する懸念を払しょくし、鍵のかかっていない銃器の危険性を明確に説明する必要がある可能性が示されたと指摘した。
米国は銃器保有率が特に高い国の一つだ。スイスの調査団体「スモール・アームズ・サーベイ」によると、米国の個人が所有している銃器の総数は3億9300万丁に上り、同国の人口を上回る。新型コロナウイルス流行中に銃の売り上げが急増した結果、保有者数は記録的水準に達した。
銃器が手の届く場所にあると、けがや死亡の可能性を高めることが過去の調査から分かっており、それが今回の調査を実施した理由の一つだと著者らは述べている。米国での銃による暴力は増加を続けており、疾病対策センター(CDC)の統計によると、2020年に発砲を受けて死亡した米国人の数は過去最高だった。
過去の研究からは、銃の保有は自宅における殺人事件発生リスクを高めるほか、自殺の増加にも関連していることが示されている。CDCによると、2020年に同国で発生した殺人の79%、自殺の53%に銃器が関わっていた。
増えているのは殺人と自殺だけではない。銃乱射事件もまた米国を悩ませ続けている。銃犯罪の統計を行うサイト「ガン・バイオレンス・アーカイブ」によると、米国では今年、4人以上が死傷する発砲事件が3月1日時点で95件起きている。
(forbes.com 原文)