ハバナ症候群が最初に報告されたのは2016年で、キューバの首都ハバナにある米大使館職員が、奇妙な音を聞いた後、頭痛や吐き気、めまい、記憶力低下などに襲われたと報告した。その後、これまでに約1500件の症例が報告されている。
米国の7つの情報機関はその後の数年にわたりこれらの症例に関する調査を行ったが、共通の条件は見つからなかったと、当局者はワシントンポスト紙とCNNに語っている。
ポスト紙によると5つの情報機関が、ハバナ症候群がロシアのような敵対国による攻撃の結果であるとは「非常に考えにくい」としており、ある匿名の機関は「考えにくい」と述べ、別の機関は結論を出すことを避けたという。
この症状は、敵対国による電磁波や高周波を用いた兵器や、監視テクノロジーによって引き起こされた可能性があると考えられていたが、ある情報当局者はポスト紙に、これらの見方はいずれも調査の結果除外されたと語った。
2016年にキューバでこの症状を発症した人々の一部は、後に行われた医療検査で、脳組織に永続的な損傷を受けていたことが判明した。またオーストリア、中国、グルジア、ドイツ、インド、ロシア、台湾、ベトナムの米政府の関係者も、後に同様の経験をしたと報告した。
発症した人々の多くは、この病気がロシアなどの敵対国による攻撃によって引き起こされた可能性があると主張した。この説を裏づける直接的な証拠は発見できていないが、昨年開催された情報委員会では、いくつかの症状が指向性のエネルギーによって引き起こされた可能性があるとされていた。
しかし、情報機関は、外交官らが訴えた体調不良が恐らく本来からあったものか、生活環境や従来の病気が原因であると分析した。
中央情報局(CIA)は、今から約1年前にハバナ症候群の1000例の大半が敵国によるものではなく、環境的な要因や未診断の病状、ストレスが原因であると発表していた。バイデン大統領は2021年10月、この症状を発症した外交官や政府関係者に政府の支援金を支払う法案に署名していた。
(forbes.com 原文)