低カロリー人工甘味料エリスリトールに心血管疾患のリスクを高める可能性

コーヒーショップに置かれている人工甘味料のパッケージ(Getty Images)

一部の食品にも天然で含有されているが、加工食品にはしばしば1000倍の濃度で添加されている。工業的に生産される場合、小麦またはコーンスターチ由来のブドウ糖をある種の酵母で発酵させることによって、粉状の白い結晶が得られる。過去に複数の研究がエリスリトールを砂糖の優れた代用品であると報告しているが、研究のほとんどは動物実験によるものだ。

FDAによると大部分の米国人の日常的なエリスリトール摂取量は1日当たり30gだ。抗酸化飲料、Baiの18オンスボトル(約500ml)1本には10gのエリスリトールが含まれ、Halo Topアイスクリームのほとんどのフレーバーは、含有成分(重量比)上位5項目の中にエリスリトールが入っている。しかし、Nature Medicineに掲載された研究のリーダーで、クリーブランド・クリニック・ラーナー研究所心臓血管診断・予防センター長のスタンレー・ヘイゼンは、発見された危険性について「リスクは控え目ではない」とCNNに話した。イエール大学医学部心臓病学教授ジョン・ファはMedical News Todayに、心血管系へのリスクが追加研究によって明らかになれば「心血管リスクの高い患者(糖尿病患者など)は、血小板の粘着性が特に高いことがあるので、十分な注意が必要です」と語った。エリスリトールを摂取する前には医者に相談するようファは推奨している。

代謝異常症は体の代謝が異常な化学反応の影響を受けたときに起こり、患者が健康でいるために必要な物質が多すぎたり、少なすぎたりする状態になる。糖尿病、肥満、ゴーシェ病、フェニルケトン尿症、ヘモクロマトーシスなどが代表例だ。代謝異常症の患者は、砂糖の代わりに人工甘味料を使うことで減量や血糖管理(糖尿病患者が血糖値を維持することで長期合併症の減少につながる)に役立つと医療専門家から言われることがよくある。

米国心臓協会さえも、米国人の添加糖摂取を減らすために、人工甘味料の使用を推奨している。しかしNature Medicineの研究は、人工甘味料が心血管代謝疾患リスクに与える長期的影響について「ほとんどわかっていない」ことを認めている。また、人工甘味料の使用は肥満2型糖尿病インスリン耐性、および心血管疾患と関連していることが指摘されている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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