政治

2023.03.02

米議会がスタバCEOを証人喚問、労組結成の「妨害」を追及へ

スターバックスのハワード・シュルツCEO(Getty Images)

連邦議会上院の委員会は、スターバックスのハワード・シュルツCEOを議会に召喚し、組合の結成を妨害した疑いについて証言させるかどうかを決める投票を実施する。議会はこれまでシュルツCEOに対し、自主的に公聴会に出席するよう求めてきたが、ここ最近「反組合の顔役」になりつつある彼は、その要求を拒否している。

上院保健・教育・労働・年金委員会の委員長を務めるバーニー・サンダース上院議員は3月1日、公聴会へのシュルツCEOの召喚を決議する投票を8日に行うと宣言した。この公聴会では、スターバックスの労組の問題や労働条件などに関する聴取が行われる。委員会はまた、大手企業による労働法違反の調査を開始するかどうかの投票も行う予定だ。

今回の召喚状の決議は、民主党が支配する委員会によって承認される可能性が高い。委員会の11人の民主党議員らは、スターバックスに対し、9日の公聴会にシュルツCEOを出席させるよう求めたが、同社はこれを拒否していた。スターバックスは、シュルツCEOが4月1日に退社することを理由に、副社長兼広報責任者の出席を申し出た。

サンダース議員は、シュルツCEOが度重なる面会や資料の提出の要求を拒否し、議会の監視の目を逃れていると非難し「召喚する以外に選択肢はない」と述べた。スターバックスの広報担当者のアンドリュー・トラルはCNBCへの声明の中で、この動きを「残念な展開」と述べた。

スターバックスでは、2021年12月にニューヨーク州バッファローの店舗で全米初の労組が結成されたが、シュルツCEOはその数カ月後の2022年4月に名誉会長職から経営トップに復帰していた。同社の労組結成の背景には、低賃金や待遇の悪さなどがあり、社員らはこの問題がパンデミックの中でさらに悪化したと述べている。

シュルツCEOは、労組の結成に反対しており、同社が「パートナー」と呼ぶ従業員らは、組合の存在なしに会社と有利な交渉を行えると主張している。しかし、スターバックスは何百件もの不当労働行為の苦情を受けており、全米労働関係委員会(NLRB)が、違法解雇と判断したケースもある。

スターバックスは全米に約9300店舗の自社運営の店舗を構えているが、そのうちの282店舗でNLRBの承認を受けた労組が結成されている。

シュルツCEOは、2020年の大統領選への出馬を検討したが、最終的には自身の出馬が民主党の票を分散させ、トランプ前大統領の再選を促す恐れがあるとして、それを断念していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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