UNDER 30

2023.03.08

世界でも稀有な「スポーツ x 国際開発」でオバマに挑むU30

篠原果歩(2022 Forbes JAPAN 30 UNDER 30)はオバマ元米大統領に会いにいく。/ 撮影協力:engawa KYOTO

オバマ元大統領に聞きたいこと

マイアミでの経験から8年以上が経過し、篠原はいま、スポーツを通じた国際開発の道にいる。国際開発、つまり社会的に弱い立場、行動を起こすのに困難な状況にある人たちを支援する道に、スポーツの持つ力を使う。

「もともと、国際貢献よりもまずスポーツによる人のつながりに関心があって道はスタートしています。地元の京都はスポーツが盛んで、10代の頃は高校野球の熱狂的ファンでしたし、マイアミの留学でもスポーツの役割を感じ、筑波大学院の時にリオ・パラリンピックでボランティアを経験し、スポーツの力を確信しました。東京でのオリパラ決定の2013年、そこで仕事をする! と決めてがむしゃらでした」

日本で篠原の携わる領域を学べる場所は少ない。世界でもニッチな領域で、先人もいない。IPCからローレウスに移りスポーツの可能性を広げる篠原は、さらに「プロフェッショナル」を目指すため、学びを深める選択をした。

篠原は、ローレウスに籍を置きながら、母校でもある立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程へ進学。男性優位の世界で相手を説得するには、理論とデータという武器が必要になるという理由だ。「研究は苦手」というが、学ぶこと自体が好きなのだろう。だからこそ、オバマ財団のリーダーシッププログラムへの応募にも挑戦したのだ。

「社会ではさまざまな出来事が起きているのに、これまでスポーツというレンズを通してしか社会を見たことがないなって気づいたんです。自分の視野の狭さを感じることが最近増えてきて社会に対してスポーツで何をしていくか──それを考えても、いいアイデアが出てこない。30 UNDER 30でも世界の広がりを感じたし、オバマ財団のプログラムでは、海外、アジア太平洋の人々との交流に期待しています」



ローレウスでの仕事、大学院での学び、そしてオバマ財団のリーダープログラム。3足のわらじでスポーツによる国際貢献を極めようとする篠原。リーダープログラムはAPACのあらゆる地域から個性と高いスキルを持つ次代のリーダーが集まる。人権や環境、教育など異なるフィールドで同じ社会貢献という目標に立ち向かう同世代の海外の人たちとこれから意見を交わすことになるだろう。そしてオバマ元大統領とも会うことになる。

「オバマ元大統領は初のアフリカ系大統領として、強い志がないと務まらなかったと思うんです。どうやって自分を保ち、人々に希望を与え続けたのか。仲間を見つけて行ったのか、それを聞きたい」

これから訪れる多くの出会いと学びの中で、自分の視野のみならず、活動の幅が広がるはずと篠原は期待する。

文=中沢弘子 写真=グリフィス太田朗子 編集=坂元こうじ

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