日本酒の枠を広げる「泡」と「ヴィンテージ」の可能性

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日本の企業が世界に出るときに足りないものは何か。そのひとつが“クリエイティビティ”だとしたら、どうしたら乗り越えていけるのか。


Kitchen & Companyの中道大輔がナビゲートするPodcast「VISION TO THE FUTURE」とForbes JAPANがコラボレート。国内外で活躍する“視点”のあるゲストとともに、考え、発信していく。


第30回配信は、前回に引き続き永井酒造代表取締役で六代目蔵元の永井則吉がゲスト。スパークリング日本酒を起爆剤に、日本酒の世界展開を手がける永井酒造。その要ともなる“仕組みづくり”とは?


中道:前回に引き続き、永井酒造の六代目蔵元、永井則吉さんをお迎えしています。

永井さんは大学で建築を専攻されて、建築を見るためバックパッカーで11か国30都市を回られています。大学2年生の時に実家である永井酒造の酒蔵の新設チームの一員として蔵の設計や酒造りなどに携わるうち酒造りの世界に魅力を見出し、大学卒業と同時に永井酒造に入社。

2013年社長に就任された後は、スパークリング日本酒を開発し、それを世界に発信するために2016年にAWA SAKE協会を設立。そのほか熟成日本酒(ヴィンテージ日本酒)の研究開発を行うなど、世界で日本酒の地位を向上させるためのさまざまな活動をされています。

今回は日本酒が持つ可能性についてお聞きしたいのですが、どのような見解をお持ちですか。

永井:日本酒は海外で人気みたいなイメージがあるかと思うんですけど、実は日本酒業界全体量の95%は日本の中で消費されているんです。まったく海外の日本酒を飲みたい人たちに届いていないんです。

中道:海外ではほとんど売っていないのでアクセスできないですもんね。

永井:そうなんです。まだ東の果ての国の民族酒に留まっているんです。日本酒のドアがあったら、それを指先でツンツンと弾くぐらいの感じだったのが、ようやく普及し始めて今はトントンとノックの音が聞こえるくらいにはなっています。

まだドアは開いていませんが、いろんな方がドアノブを持ってくれていて隙間ができつつある。これがオープンすればめちゃくちゃすごいことになるんじゃないかという感じはします。

中道:その手ごたえに何か理由はあるんですか。

永井:歴史やカルチャーや自然に惹かれて日本に憧れる人が増えていますよね。日本に行ったら和食を食べてみたい。その時一緒に日本酒も飲んでみたい。そういう日本文化を体験した人たちが、「日本よかったよ」と軽いノリで言うのではなくて、なんというか「LOVE」じゃないかっていうくらい本気で愛情を持って自分の仲間にアメーバ的にグーっと広げてくれている感じがします。

だからあとは、僕たちが熱量を持って発信していけば間違いなく広がっていくんだろうなと思っています。
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文=久野照美 編集=鈴木 奈央

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