宇宙

2023.03.04 14:00

10億の銀河を記録した「空の地図」が6年がかりで完成

比較的地球に近い銀河団Abell 3158を中心とした画像。これらの銀河から来る光の赤方偏移は0.059、これは地球までおよそ8億2500万年の旅を経てきたことを意味している(DESI LEGACY IMAGING SURVEY/KPNO/)

そこに「星のじゅうたん」は存在しない。私たちの見ている夜空には無限の深さがある。地球から肉眼で見えている星の大部分は、太陽系が属している天の川銀河の星だが、その先には宇宙全体がある。強力な望遠鏡を使うことで、そこを探索し知ることができる。必要なのは地図だけであり、その地図はどんどん良くなってきている。
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先週、これまでに作られた中で最も大きい空の2次元地図が公開された。その地図は、アリゾナ州キットピークおよびチリのセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)の望遠鏡を使って空の半分近くを観測する6年間の観測プロジェクトであるDESI Legacy Imaging Surveysの第10回データリリースから作成された。

The Legacy Surveys(オンラインで探索できる)は、最も包括的な空の地図を作り、過去120億年間にどうやって宇宙が膨張してきたのかを天文学者が理解するために役立てることを目的としている。宇宙の膨張を加速させると考えられている未知の力「ダークエネルギー」を理解するためには不可欠な情報だ。

新しいデータの大部分は、チリのCTIOにある直径4メートルのビクター・M・ブランコ望遠鏡に設置されたダークエネルギーカメラ(DECam)が捉えた。天の川銀河円盤の外、銀河系外南天の観測データは、天文学者がおよそ4000万個の対象銀河を識別するのに役立つ。
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セロ・トロロ汎米天文台(CTIO/NOIRLAB/NSF/AURA/P. MARENFE)

空の地図のキャンバスを2万平方度(空全体のおよそ半分)まで拡大しただけでなく、この最新バージョンには赤外線フィルターが追加された。「近赤外線波長データをLegacy Surveyに加えることで、遠方銀河の赤方偏移が高精度で測定できるようになり、それらの銀河から光が地球に届くまでの時間が正確にわかるようになります」と米国立科学財団(NSF)の国立光赤外線天文学研究所(NOIRLab(国立光赤外線天文学研究所)の天文学者で、DECam eROSITA Survey(DeROSITAS)の主任研究員アルフレッド・ゼンテノは声明で語った。

これによって宇宙の強力な信号を発見し、それがどの銀河団と活動的な超大質量ブラックホールから届いたかを特定しなくてはならない電波天文学者たちにとって、これまで以上に有用な地図になるだろう。

しかし、新しい地図は一般の人々にも使ってもらうことが期待されている。「誰でもこのサーベイデータを使って空を探検し、多くの発見をすることができます」とNOIRLabの天文学者シージュン・デイは声明で語る。「数年のうちに、Legacy Surveysが最も完全な空の地図を作成し、将来にわたって科学者たちに宝の山を提供していけることを願っています」

澄み切った空と大きな瞳に願いを込めて。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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