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2023.03.01

グーグルとMS出資、ジェネレーティブAIでマーケを変えるTypeface

Getty Images

競争激化のマーケティング向けAI

アドビで働いた8年の間に、パラスニスは多くの企業が最先端のクラウドや生産性ツールを取り込むのを目の当たりにしてきたという。DALL-E 2やChatGPTのブームを受けて、企業がコンテンツのワークフローにジェネレーティブAIを取り入れる動きは加速していると彼はいう。

マーケティングコンテンツ向けのAIは、以前から競争が激しい分野であり、Typefaceはテキサス州のユニコーン企業のJasperやコピーライティングを自動化するAnywordなどの企業と対峙することになる。しかし、Typefaceに投資したGVの投資家のクリスタル・ファンは、この分野には「複数のユニコーンを生み出す余地がある」と述べている。

アーリーステージの投資に注力する投資会社Convictionの創業者のサラ・グオは、ここ数カ月で少なくとも30社のスタートアップがこの領域に出現しているが、成功する可能性が高い企業は、エンドエクスペリエンスを見直す企業だと述べている。

彼女はその例として、OpenAIのGPT 3.5やStable Diffusionのようなオープンな基本モデルを、対象とする分野に応じたデータセットに適合させる、もしくはレイヤー化することを挙げた。

一方で、企業にとって最も基本的な関心事の1つは、データとブランドイメージの安全性だ。企業は、不正確なコンテンツや盗作、攻撃的なコンテンツを不用意に公開し、自社の評判を落とすことがないようにしたいと考えている。パラスニスは、ブランドがOpenAIやStable Diffusionの直接利用をためらう主な理由の1つは、それらが攻撃的なコンテンツを生成する可能性があることだと述べている。

Typefaceは、著作権侵害の危険性があるデータを含むStable DiffusionとOpenAIのデータセットで構築されている。Stability AIは2023年2月、Getty Images(ゲッティイメージズ)から著作権侵害で訴えられた。このため、法的責任の問題が宙に浮いている間は、顧客は導入に消極的になるかもしれない。

「大手のブランドは、生成されるコンテンツをコントロールしたいと考えている。それはブランドとして安全か? 解像度は十分か? 会社のブランドイメージに合っているか? 既存のキャンペーンとの整合性は? といった疑問を解決することを彼らは望んでいる」と、GVのフアンは指摘する。

こうした懸念を軽減するため、Typefaceはエンタープライズレベルの最適化機能を持つ、Microsoft AzureのOpenAIインフラ上に構築されており、ユーザーはコンテンツのモデレーションやデータのガバナンスを設定し、安全性をチェックできる。

しかし、パラスニスは、Typefaceのプロダクトは企業側にデータやトレーニングモデル、生成されたアウトプットのコントロール権を与えており、すべての安全性の問題に対して責任を負うことはないと述べている。「Typefaceは、各企業の安全ルールを規定する立場にない。それは各企業が独自に決めることだ」と彼は述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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