そこで考えついたのが、自らが受け継いだアジアの文化と、誰からも愛されているアイスクリームを融合させることだ。
「昨今では食べもの、音楽、文化の結びつきが強くなり、ますます共有されるようになっていると感じていました」とバクは少し前に語っている。「Boba x Ice cream(ボバxアイスクリーム)の立ち上げにあたって意図したのは、私が子どものころから慣れ親しみ、楽しんできた食べものによって、アジア系米国人の文化を促進・支援することです」
タピオカとも呼ばれるボバは、キャッサバのでんぷんでつくられる。1980年代の台湾で発祥した「タピオカミルクティー」に入れるのが定番で、世界でも広く消費されるようになった。
ボバxアイスクリームの発想が間違っていないと確信できたのは、トレーダー・ジョーズが2022年夏、紅茶とボバを使ったココナッツミルクベースのフローズンデザートを発売し、たちまち完売したときだったとバクは振り返る。
「消費者は、この新しいアイスクリーム製品を歓迎するだろうと確信しました」とバクはいう。「でも、さらに質の高い製品をつくって、アジアに着想を得た最高級のボバアイスクリームを大々的に紹介する最初の会社になりたいと思いました」
飲食分野の投資家向けデータベース「FABID」のデータによれば、アイスクリーム・フローズン製品のカテゴリーは、2022年に8100万ドル(約110億円)のベンチャーキャピタル資金を得た。とりわけ、植物ベースのアイスクリームとフローズンデザートについては、2021年に売上が前年比31%増の4億5800万ドル(約624億円)に達したことが、調査会社SPINSの調べで明らかになっている。
ボバxアイスクリームは1年半ほど前、まだ初期段階のブランドだったにもかかわらず、LegalZoom(リーガルズーム)の共同創業者ブライアン・リー率いる投資会社BAM Ventures(BAMベンチャーズ)から最初の資金を得た。そして、ジェニズ、ベン&ジェリーズ、ヘイロー・トップといったアイスクリーム分野を代表する事業者や専門店の仲間入りを果たした。