食&酒

2023.03.01

大坂なおみも出資、より公平な社会の実現目指すタピオカ入りアイス

大坂なおみ(Photo by Sarah Stier / Getty Images)

チャーン・バクは、コーネル大学を卒業して以来、10年をかけてさまざまな飲食物の小売コンセプトを構築してきた。だが、飲食サービスがパンデミックによる打撃を受けとりわけアジア系起業家の経営するサービスが、人種差別に起因するヘイトクライムにより大きな痛手を負ったとき、バクはもっと革新的なビジネスアイデアへの転換を余儀なくされた。

そこで考えついたのが、自らが受け継いだアジアの文化と、誰からも愛されているアイスクリームを融合させることだ。

「昨今では食べもの、音楽、文化の結びつきが強くなり、ますます共有されるようになっていると感じていました」とバクは少し前に語っている。「Boba x Ice cream(ボバxアイスクリーム)の立ち上げにあたって意図したのは、私が子どものころから慣れ親しみ、楽しんできた食べものによって、アジア系米国人の文化を促進・支援することです」

タピオカとも呼ばれるボバは、キャッサバのでんぷんでつくられる。1980年代の台湾で発祥した「タピオカミルクティー」に入れるのが定番で、世界でも広く消費されるようになった。

ボバxアイスクリームの発想が間違っていないと確信できたのは、トレーダー・ジョーズが2022年夏、紅茶とボバを使ったココナッツミルクベースのフローズンデザートを発売し、たちまち完売したときだったとバクは振り返る。

「消費者は、この新しいアイスクリーム製品を歓迎するだろうと確信しました」とバクはいう。「でも、さらに質の高い製品をつくって、アジアに着想を得た最高級のボバアイスクリームを大々的に紹介する最初の会社になりたいと思いました」

飲食分野の投資家向けデータベース「FABID」のデータによれば、アイスクリーム・フローズン製品のカテゴリーは、2022年に8100万ドル(約110億円)のベンチャーキャピタル資金を得た。とりわけ、植物ベースのアイスクリームとフローズンデザートについては、2021年に売上が前年比31%増の4億5800万ドル(約624億円)に達したことが、調査会社SPINSの調べで明らかになっている。

ボバxアイスクリームは1年半ほど前、まだ初期段階のブランドだったにもかかわらず、LegalZoom(リーガルズーム)の共同創業者ブライアン・リー率いる投資会社BAM Ventures(BAMベンチャーズ)から最初の資金を得た。そして、ジェニズ、ベン&ジェリーズ、ヘイロー・トップといったアイスクリーム分野を代表する事業者や専門店の仲間入りを果たした。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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