インフレ率の高止まりと米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの継続が、現在の株安の原動力となっているが、弱気市場の深さと長さは、業績予測の傾向によって決まると、マイケル・ウィルソン率いるモルガン・スタンレーのアナリストは、2月27日のメモで顧客に伝えた。
2022年10月以降に16%以上上昇した後、先週、突然3%下落したS&P500は「危機的水準にある」とウィルソンは指摘した。特に、四半期の末の3月には、企業の決算が弱気相場にさらなる打撃を与え、株式市場の急落につながる恐れがあるという。
「今回のラリーは強気の罠だと思う」と彼は指摘し、S&Pは「最後の抵抗」をするかもしれないが、その後は「企業の収益予測が下げ止まるまでさらに13%も急落する可能性がある」と述べた。また、今後の数カ月間は、収益予想の下げ止まりが起こらないと予測した。
FRBの利上げは、必然的に企業の収益を悪化させ、株価を数年来の安値に押し下げるだろうとPrincipal Asset Management(プリンシパル・アセット・マネジメント)のアナリストも指摘した。同社は、今年に入り利上げの継続の可能性が高まる中で投資家に、ボラティリティの上昇に備えるよう伝えている。
S&P500は、昨年10月に2年ぶりの安値に沈んだ後、インフレの減速の見通しの中で上昇したが、直近のデータは、物価の高騰が人々の想像よりもずっと長引く可能性を示唆している。24日に米商務省が発表した先月の個人消費支出(PCE)指数は、前年比5.4%の上昇で、前月の5.3%から伸びが加速した。
Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)とBank of America(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、FRBが5.5%の最高水準まで金利を引き上げると予想しており、金利は20年以上ぶりの高水準に達する可能性がある。
(forbes.com 原文)