政治

2023.02.28 15:30

「新型コロナウイルス実験室漏洩説」に対する各米政府機関の立ち位置

上院共和党:パンデミックは「研究関連事象」の結果である可能性が高く、動物伝染仮説は「もはや疑わしきは罰せずの対象ではない」と上院健康教育労働年金委員会の共和党議員が2022年10月の報告書で語った。

反論

中国当局は26日、報道されたエネルギー省の結論を退け、新型コロナウイルスの起源が実験室である「可能性は著しく低い」という世界保健機構(WHO)の決定を挙げて、この説を発展させようとする行為は政治的であると断じた。中国当局は、ウイルスが実験室に由来するという説を一貫して否定している。

WHOは2年前、中国武漢華南海鮮卸売市場でSARS-CoV-2の広範囲にわたる汚染が発生していたことを、2021年初期に現地を調査訪問した後に確認したという報告書を公開した。報告書には、実験室からの漏洩はウイルスの伝染に関する最も可能性の低い仮説であることも書かれていた。バイデン政権を含む一部の人々は、その調査に懸念を示していることを表明し、中国政府はウイルスの起源を徹底調査するための十分な情報をWHOに渡さなかったと主張した。2021年7月、中国政府はWHOによる第2段階調査の計画を拒否した。そこでは実験室漏洩説を追加調査する予定だった。

ウイルスが中国の実験室から漏洩したものであり動物から人間へと自然に伝染したものではないという説は、パンデミック開始当初から流布しており、しばしば共和党に支持されてきた。実験室漏洩信者の中には、ウイルスが自然に発生し、それを研究していた実験室から漏れ出したと考える人々もいるが、ランド・ポール上院議員(共和党、ケンタッキー州選出)をはじめとする一部の人々は、同ウイルスが米国国立衛生研究所が支援した武漢ウイルス研究所におけるコウモリ・ウイルスの研究の中で作られた改造ウイルスであるかもしれないと考えている。

フランシス・コリンズ前NHI長官はその主張を「明白な虚偽である」と即座に指摘した。実験室漏洩信者たちの主張に対しては多くの科学者が異議を唱えている。昨年Proceedings of the National Academy of Sciencesに掲載された論文は「新型コロナを引き起こしたウイルスがコウモリから別の野生動物を介して、野生動物取引に関わる人間へと伝染し、華南海鮮市場に関連する大流行を引き起こした」とする専門家が査読した数多くの科学的証拠があると報告している。2020年に同ウイルスの起源を調べた別の研究は、実験室起源説を支持する証拠は見つからず、新型コロナウイルス伝播の履歴は、以前の動物取引市場に関連したコロナウイルス大流行と同程度であると述べている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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