思惑に乗るか、あえて裏切るか
「魚行水濁鳥飛毛落」では「どこから来て、なにを世に残すか」を自問自答した作家が、作品と空間を通して、見る人に同じ問いを投げかけていた。クリアに言語化された課題ではなく、抽象的な概念のまま表現に閉じ込めた問いかけだからこそ、作家からのメッセージに気づくか気づかないかは人それぞれだ。また作家からの問いに気づいたとして、その問いに乗って思考することもあれば、あえて異なる角度から眺め問い直すこともあるだろう。感性で交歓する作家との問答に、正しさの答え合わせは野暮というものだ。
正解を最短ルートで探す力が求められるビジネスリーダーこそ、時には個展に足を運んでみてはいかがだろうか。答えのない問いの渦に全身でダイブしている作家が、両手を広げてあなたを待っていてくれるだろう。