この実験のおもな目的は、有人地帯、つまり市街地上空でドローン輸送を行い、効率面や品質面での自動車運送との違いを評価することですが、もうひとつ重要なこととして、ルートの下で暮らす住民の「認知獲得および受容性向上」があります。つまり、頭の上をドローンが飛ぶことを理解し受け入れる意識を醸成することです。これは、先年12月の航空法改正により無人航空機の「有人地帯における補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)が可能になったことを受けての取り組みです。
そのために、スマートフォンを使った運行情報の提供が行われます。KDDIのXRビューワーアプリ「5G XR VIEWER SATCH X powered by STYLY」(SATCH X)を起動してスマートフォンのカメラを空に向けると、ドローンの「空の道」が実際の空の映像の上に重ねて表示されます。また、ドローンが歩道を横切るときは歩行者に「赤信号」を示すといった機能も試されます。
PCR検体に見立てた荷物を輸送するのは、筑波メディカルセンターとつくばi-Laboratoryを結ぶ約300メートルの区間です。使用される機体はACSL製の「PF2-LTE」。最大2.75キログラムの荷物を積んで毎秒10メートルの速度で飛行します。