米ボストン・カレッジと英ケンブリッジ大学、英国の研究機関Autonomy(オートノミー)などが共同で実施した試験プロジェクトでは、参加した英国の61社が6カ月間、従業員の給与を引き下げることなく、週あたりの労働時間のみを短縮した。
結果をまとめた報告書によると、試験期間の終了後、参加した企業の約92%が週4日労働制を継続することを選択していた。さらに、18社はこの変更を恒久化することを決めたという。
参加企業の従業員たちはこの間に、わずかながら収入が増加していた。一方、各社の離職率は57%低下したという。ただ、プロジェクトを実施した大学・団体は、景気などの外的要因が結果に影響した可能性もあると指摘している。
週休3日制になったことで、各社の従業員合わせて約2900人のうち71%が「燃え尽き(症候群の症状)が改善された」、39%「ストレスが軽減された」と回答。さらに半数以上が「ワークライフバランスが改善された」(54%)「社会生活との両立が容易になった」(62%)と報告している。
プロジェクトの主な背景
週4日労働制の導入は、新型コロナウイルスのパンデミック発生を受け、より柔軟な勤務形態を求める人が増加したことにともない、注目度が高まった。推進派は、生産性を犠牲にすることなく、従業員のウェルビーイング(心身面・社会的な面充足感が得られている状態)を高めることにつながると指摘している。アイスランドでは2015~19年、労働時間を週35~36時間に短縮する実証実験が複数回にわたって実施された。その結果、参加企業の大半が「生産性の維持または向上につながった」と報告している。同国ではその後、従業員の86%が給与水準を保ったまま、労働時間を削減した。
また、日本ではMicrosoft(マイクロソフト)が2019年、5週連続で金曜日を休日としたところ、生産性が40%向上したと報告している。