第2次世界大戦が終結した1945年の時点で、住む家を失い、国を追われた西欧の人々は700万~1100万人だったと推定されている。一方、国連(UN)によると、ウクライナではロシアの侵攻が始まって以来、約790万人が国外に避難している。
そのうち半数近くは、すでに昨年中にウクライナに戻ったとされる。だが、それでもおよそ400万人のウクライナからの避難民たちが、いまも欧州各国やその他の国・地域で暮らしている。
母国を逃れたウクライナ人たちに対しては、各国が手厚い支援を行っている。ロシアからの攻撃が続く間の一時的なサポートとの見方が影響しているとしても、アフガニスタンやシリアなどその他の国の避難民たちと比べ、ウクライナの人々により大きな支援が提供されているのは、なぜだろうか。
理由はいくつか考えられる。まず、ウクライナに被害を与えているのが核保有国のロシアだということがある。ウクライナは旧ソ連の崩壊後、(米英露の核保有3カ国がハンガリーの首都で署名した)ブダペスト覚書に従い、およそ5000発の核弾頭をロシアに引き渡している。
ロシアは「すべての核兵器を引き渡せば、ウクライナの主権を尊重する」としていた。また、これら3カ国のほかに核保有が認められたフランスと中国も、ウクライナの主権を尊重することに賛同していた。
だが、ロシアは2014年、ウクライナ南部のクリミア半島に侵攻し、この協定に違反。それ以降も、国際法や国際秩序に基づいた規則に反する行動を取っている。
「ディアスポラ」たちの支援
第2次大戦で命を落としたウクライナ人は、およそ700万人とされている。その大戦の影響により、ウクライナから国外に逃れた数多くのディアスポラたちは、世界中の各地に根を下ろし、生活している。ドイツが敗戦すると、多くのウクライナ人たちは旧ソ連を脱出。オセアニアや南米、北米、西欧など各地へ移住。それぞれの場所で強力なコミュニティを形成した。