米国心臓病学会が2月24日に発表した研究結果によると、17万5000人の健康データを分析したところ、大麻を毎日使用する人は、虚血性心疾患を起こす可能性が使用経験のない人より34%高くなっていたという。
虚血性心疾患は、心臓病のなかでも最も一般的な疾患の1つ。心臓の血管にプラークが蓄積することによって引き起こされる。研究チームは、大麻に含まれる成分で(幻覚などの)向精神作用があるテトラヒドロカンナビノール(THC)が血管に炎症を起こし、プラークの蓄積につながるとの見方を示している。
ただし、今回のこの研究では、大麻を喫煙した場合、食用その他のかたちで摂取した場合の影響の違いについては、検証を行っていない。
研究チームはこうした結果について「大麻の使用にリスクがないと考えている人たちに対する警鐘」だと指摘。日常的に大麻を使用している人は、心臓病のリスクについて、医師に相談するべきだとしている。
若年成人の4割超が使用
米国立衛生研究所(NIH)の調査によると、2021年に大麻を使用していた若年成人(19~30)は43%で、その割合は5年間で34%増加していた。また、米疾病対策センター(CDC)の推計では、2019年の時点で一度でも大麻を使用したことがある人は、少なくとも4820万人にのぼっている。そのほか、米国で昨年、嗜好用・医療用の目的で合法的に販売された大麻の売上高は、総額330億ドル(約4兆5000億円)だったと推計されている。
アイオワ州議会下院では、医療用大麻の使用拡大と、21歳以上の成人に嗜好用としての使用を認める法案が提出された。この法案が可決されれば、同州は国内で嗜好用としての大麻の使用を認める22番目の州となる。
また、米国ではそのほか十数州が、(THCの)含有濃度が低い大麻の所持を非犯罪化している。
使用拡大の主な背景
たばこと比べ、大麻の使用は長期的な健康状態への影響と深く関連付けられていない。ただ、CDCによると、大麻の使用は脳卒中や心血管疾患などの心臓病のリスクを増大させる可能性があるという。また、大麻の喫煙は肺の組織や血管に損傷を与える可能性があるとの報告もある。昨年11月には小規模な研究の結果として、肺気腫や気道の炎症は、たばこよりも大麻を喫煙する人に多くみられることが発表されている。
こうしたなか、昨年8月にはギャラップの調査結果で、たばこよりも大麻を使用する人が増加していることから、大麻の使用量が「過去最多に達した」とことが明らかになっている。
(forbes.com 原文)