北米

2023.02.27

新型コロナウイルスは実験室から漏洩した可能性大、米エネルギー省

Getty Images

米エネルギー省は、新型コロナ・パンデミックの原因が実験室からの漏洩によるものである可能性が最も高いと結論づけたと2月26日にウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。しかしジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は、ウイルスの起源に関する「明確な答えはない」と語っている。

エネルギー省の新たな結論は、最近ホワイトハウスおよび一部の議員向けに提供された、アブリル・ヘインズ国家情報長官室の最新機密レポートに書かれている。

米国の数多くの研究所を監督しているエネルギー省は、新たな情報に基づいてこの結論に達したが、その判断の信頼性は「低い」とレポートを読んだ人々がWSJに伝えた。

FBIも2021年に「中程度の信頼度」でウイルスが実験室から漏洩されたものであると断定したが、FBIがその結論に達した理由はエネルギー省とは異なっていたと当局関係者がWSJに話した。

各政府関連機関の意見はさまざまだ。4つの機関が「低い信頼度」でウイルスは動物から自然に伝染したと断定したと報じられており、CIAを含む別の2つの機関は、2つの起源論に対する態度を決めていない。

エネルギー省はForbesに対して「大統領の指示に従って本省の専門調査チームが行った新型コロナの起源に関する綿密で注意深く客観的な調査を、今後も支持していきます」と話したが、WSJに対して具体的な内容に関するコメントはしなかった。

「情報関連機関の中には、一方の結論に達した部署もあれば、反対のところもあり、多くの人々は、確実に言えるための十分な情報がないと述べている。【略】バイデン大統領は、この問題の真相を追求するために努力と資源を充てるよう情報関連機関のあらゆる部署に指示している。しかし、今現在、情報コミュニティからこの問題に関する決定的な答えは出ていない」と26日にCNNでWSJの記事に関して質問されたサリバンは語っている。

エネルギー省のレポートは、新型コロナ・パンデミックが中国の生物兵器計画を原因とするものではないという考えを再確認したとレポートの内容に詳しい複数の人物がWSJに語った。

数年にわたり世界で670万人以上を死に至らしめた新型コロナウイルスの起源は、ウイルスの伝染が始まって以来、議論の的になっている。新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスであるSars-Cov-2が、最初に流行が起きた中国武漢に由来することは広く認識されているが、ウイルスの正確な起源ははっきりしていない。多くの専門家は、ウイルスが動物から人間へと自然に伝染した可能性が高いと考えているが、一部には、直接的証拠なしに、実験室における事故の可能性があり監視を強めるべきだと考える向きもある。

元大統領医療顧問のアンソニー・ファウチは、ウイルスの起源について「先入観を持たない」姿勢であると語った。武漢ウイルス研究所で行われていた研究に注目した説もいくつかあった。コウモリ、アライグマ、センザンコウなどの動物から人間に伝染したり、人間に伝染する前にある動物種から別の動物種に伝染した可能性も指摘されている。自然感染は華南海鮮市場で起きた可能性があり、多くの初期症例がこの場所に関連していた。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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