政治

2023.02.28

労働力の使い捨てに抗う中国Z世代の「寝そべり」運動

Getty Images

中国労働者の若い世代は、マーの仕事モデルが好きではなかった。South China Morning Postによると、Z世代労働者たちは「残業を拒否し、仕事の出来は中程度、しょっちゅうトイレに行って長時間居座り、職場で携帯電話をいじったり小説を読んだりして仕事をさぼる」ことで知られている。

これは努力に見合った給料を払わずに長時間労働を要求することに対する彼らなりの反抗だ。緩慢に働くことは一種の抗議行動だ。「自分たちはフェアに扱われていないと思っている」ことを表す彼らの表現だ。

米国のミレニアル世代とZ世代の両方が持つ不満と同様、若い中国人たちは、自分たちのわずかな収入では家を持つことも経済的余裕のある生活を送ることもできないことへの不満を訴えている。以前の世代と異なり、中国の若者たちは「ハッスル文化」を受け入れて豊かなライフスタイルを送ろうとはしない。

彼らは「寝そべり」というマントラを掲げる。この言葉は「生き延びるために絶対不可欠なこと以上を求めず、必要最低限のことをする」という意味だ。

「寝そべり」は職場の人々に対する抗議であり、自分たちが公平な機会を与えられていると信じることも、感じることもないという発想だ。米国のZ世代とミレニアル世代の多くが、家を買い子どもを持つことを諦めているのと似ている。

中国政府は「寝そべり」を喜んでいない

習近平主席はこのトレンドを快くは思っておらず、「社会階級の停滞を防ぎ、社会的上昇移動の障害を取り除き、より多くの人々が豊かになるための機会を生み出し、誰もが参加できる改善環境をつくり、退行や寝そべりを回避することが必要だ」と述べている。彼は寝そべりが「中国の夢」や「中華民族の偉大な復興」と直接対立していることを懸念している。

残念ながら、寝そべりとそれにともなうトレンドは、若者たちの職場や経済との断絶と失望を表している。これは取り組むべき問題だ。そこまで大きな不満があることは、若者たちにとっても社会にとっても不健全だ。救いと変化を求めるこの鮮明な叫びを指導部が無視し続ければ、事態は悪くなる一方だろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

ForbesBrandVoice

人気記事