4. 業界の新しいプレイヤーを登場させる
AIは、旧来の銀行と進歩の速いフィンテックの間のバランスを変える可能性がある。コールマンは「大手銀行や金融企業は、AIファーストの金融機関やネオバンク、そして次の隣接分野として銀行業への参入を狙うビッグテックに道を譲る羽目になるかもしれないことを警戒すべきです」と警鐘を鳴らす。「伝統的な金融機関は、セクター内の専門知識と豊富な資本によってこれらの破壊者を阻止できる可能性もありますが、先進技術を真に受け入れることには消極的であることが示されています」。その結果、AIファーストの企業やフィンテックが「確実に地盤を固め、従来の金融サービスを破壊しているのです」とリューはいう。「しかし、これらのフィンテックの多くは、何も新しいことを発明していません。むしろ、既存の概念に対するデジタルサービスの水準を高めているのです」たとえば「Venmo(ベンモ)がモバイル決済の分野をどのように変えたか、Klarna(クラーナ)が短期融資のゲームをどのように変えたかを考えてみてください」とリューは続ける。金融サービスに新しいものを持ち込むよりも、実際のやり方を変えることの方が重要だったのです」
5. サービスのスピードアップ
クルジェーカーは「アプリケーションは新時代のテクノロジーに完全には対応していないため、多くのプロセスが依然手作業で行われています。シームレスに自動化することがそうした組織の課題となっています」という。たとえば「融資処理、口座開設処理、小切手入金処理などは、大半の銀行システムではあまりうまく統合されていません。現在、住宅ローンを組もうとした場合には、すべての手続きを完了するのに長い時間がかかりますが、銀行が技術的な負債を少なくし、新時代のクラウドソリューションを迅速に採用することができれば、その時間を大幅に短縮することができます」ということだ。6. 人間とAIのパートナーシップを活用する
AIは金融機関が直面する多くの問題を解決するが、成功している銀行は、人間がプロセスの中にとどまるシステムを開発している。コールマンは「金融システムの民主化のためにAIを導入するには、テクノロジーと人材への投資を厭わない、大胆で人間中心なリーダーシップが必要です」という。「人間がプロセスの中にとどまらないように設計されたアルゴリズムだけで信用引受を行うと、社会的インパクトを無視して利益を優先してしまうリスクに火がつくのです」さらにコールマンは「アルゴリズムが、特定の顧客区分を差別することを学習し、不公平な決定をもたらすかもしれません」と指摘する。金融サービスにおけるAIの台頭は、銀行やフィンテックからの期待を高めている。クルジェーカーは、銀行が「テクノロジースタックへの新規投資を根本的に見直しています」と語る。「データセンターのリース期限が切れたときには、スケーラビリティを向上させるために、それらのアプリケーションのどの部分を書き直すか、またはクラウドに移行する必要があるかを評価するための、非常に積極的な取り組みが行われています。銀行は、AIと機械学習を使用して、消費者の行動を予測し、購入の好みを理解し、異常な不正行為を検出して、カードとトランザクションの管理を改善しているのです」
(forbes.com 原文)