前時代の経営から抜け出し、「ウェルビーイング」を実現する3ステップ

ラーニングエッジ代表取締役 清水康一朗

みんなで支え合い、進んでいく時代

「強みを活かし、弱みを意味なきものに変える」。これはマネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーの名言ですが、経営者が自社の文化を考えるうえで、まさに正論だと言えます。「弱い人は、貧しくなるしかなかった社会。でも、それではだめだ。みんなで支え合って進んでいこうよ」ということです。

とはいえ、私に相談をしてくださる経営者の大半は、20世型の経営スタイルと21世紀型の経営スタイルとの狭間で苦しんでいるのが現状です。頭では理解していても、世間ではまだ20世型の経営スタイルや西洋的な成功哲学が大きく否定されているわけなので、混乱が生じているわけです。

「自分だけが頑張る」とか、「優秀な人とだけ仕事をしたい」「結果を出せる人だけを大切にする」といった経営スタイルでは、もう成り立ちづらい時代となりました。なぜならこれからは労働人口が明らかに減っていき、今いるメンバーを育てられない、上手くやっていけない会社は社員を採用できず、離職率が高いまま淘汰されてしまうからです。

Google、楽天、味の素━━世界と日本のウェルビーイング事情

最後に、有名企業のウェルビーイング施策をいくつかお伝えしたいと思います。Googleでは、チームの生産性を高めるために4年の歳月をかけて「プロジェクト・アリストテレス」と呼ばれる調査を実施。その結果、心理的安全性が最も重要だという結論を出しました。心理的安全性が高い状態とは、組織の中で自身の考えや気持ちを安心して発言できる状態を言います。

また、楽天では創業メンバーである小林正忠氏がCWO(チーフ・ウェルビーイング・オフィサー)の役割を担当。味の素では「全員面談」という施策を実施し、フィジカル・ヘルスとメンタル・ヘルスの向上に取り組んでいます。さらに、今年4月4日にオープンする日本初の「ブルガリホテル東京」も、ウェルビーイングを意識したコンセプトを採用しています。

世界の共通目標となったSDGsですが、ウェルビーイングはSDGsを達成するための価値観の基準となりました。さまざまな意識転換を経て、真の意味でのウェルビーイングは、ようやく稼働し始めています。これをいち早く取り入れていくことが、一歩先を行く会社になること、そして未来の飛躍につながるのだと私は確信しています。

文=中村麻美

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