語学学習者にとって何よりも難しいのは、モチベーションの継続である。学習し始めた当初はやる気に満ち溢れているが、忙しい毎日を過ごすうちに、気づけば数週間手をつけられていなかった、ということも稀でない。
モチベーションの維持に加えて、毎日継続して学習を行うということも非常にハードルが高い。しかし、語学学習アプリDuolingoは、こうした課題を解決し、毎日の継続した学習を成功させるための仕組みを開発している。
現在Duolingoでは、全世界でDAU(1日あたりの利用者数)のうち、300万人が365日以上、1000万人以上が7日間以上の継続学習を行っているという。
Duolingoとは、Googleが提供しているreCAPTCHAを開発した、ルイス・フォン・アーンによるセカンドスタートアップの言語教育プラットフォームである。
「ゲームのように学べる」アプリとして、英語だけでなく中国語やスペイン語など、42もの言語に対応しており、100個のコースが展開されている。
全世界の月間アクティブユーザー数は、実に5000万人以上だ。日本には2020年11月に本格参入し、順調に利用者数を拡大中だ。2022年通期では、日本国内における教育アプリのダウンロード数、および収益ともにカテゴリートップとなった。
Duolingoは、「10億以上の学習データとAIが、学習体験を向上させる」点が独自だ。学習データとAIによって、ユーザーは、大学の授業を4学期間受講した学生と同レベルの語学力を、その半分の時間で獲得できるという。
「やめさせない秘密」その1、ストリーク
現在DuolingoではDAUのうち、300万人が365日以上、1000万人以上が7日間以上の継続した学習を行っているのは前述の通りだが、こうした毎日の継続学習を支える重要な仕組みの一つとして、連続記録(ストリーク)が挙げられる。ストリークとは、Duolingoでユーザーがレッスンを完了した、連続した日数を数える機能のことである。具体的に測定可能な数値が可視化されることで、ユーザーのモチベーション維持、継続した学習につながる。
最初の数日間は、学習ができたという達成感で、その後は「損失回避性」という脳の内部バイアスに働きかけることで、ユーザーの継続した学習をサポートするという。
このように、継続学習に大きく貢献する一方で、ストリークには危険な一面もある。毎日の継続した学習が達成できなかった時にユーザーは大きな失望感を抱き、勉強をやめてしまう可能性があるというのだ。
ペンシルバニア大学とUCLAの研究では、厳格なルールを設けるよりも、少し余裕を持たせることが、モチベーションを高めて目標達成に効果的であると実証されている。
Duolingoでは、Streak Freeze(連続フリーズ)を提供することで、ユーザーが1日や2日、学習をサボってしまっても、モチベーションを損なうことなく学習に専念できるようにしているという。