2022年のオーストラリア経済は、新型コロナウイルス流行収束に伴う経済活動再開の恩恵を受けたが、同時にインフレ率はここ30年間で最高の7.8%に達した。この物価上昇は主に、新築住宅の価格や輸送費、長い間不可能だった旅行の諸費用が上がったことによるものだ。
鉄鉱石価格は乱高下を繰り返したものの、ラインハートは前回ランキングに続き1位を維持した。2位に入ったのも鉱業界の大物で、「ツイッギー」ことアンドリュー・フォレストだった。フォレストは現在、再生可能エネルギーに多額の投資をしている。
3位に入ったのは、不動産王ハリー・トリグボフだ。今年は、自身の90歳の誕生日と、自らが立ち上げた不動産開発企業メリトンの創業60周年という二つの節目を祝うことになる。
テック業界の低迷により、ソフトウエア企業アトラシアンの時価総額は以前より大幅に下がったが、創業者のマイク・キャノン・ブルックス(6位)とスコット・ファーカー(7位)は、トップ10圏内を維持した。
一方、物流企業のサプライチェーン管理を支援するソフトウエア企業ワイズテック・グローバルの株価が市場全体の傾向に反して過去12カ月間に20%上昇したことで、創業者リチャード・ホワイトは10位へと浮上した。
オーストラリア連邦政府や各州政府はこの1年、経済の脱炭素化に向けた準備を進め、富豪たちはこの分野で1980年代や1990年代以来となる激しい争いを繰り広げた。ジーナ・ラインハート、メディア王のケリー・ストークス(12位)、そしてクリス・エリソン(33位)の3人は、石油・ガス採掘会社ワレゴ・エナジーの争奪戦にしのぎを削り、最終的にはラインハートが同社の経営権を手にした。
一方、太陽光発電による電気をシンガポールに送電することを目指す企業サン・ケーブルに共同出資しているアンドリュー・フォレストとマイク・キャノン・ブルックスは、プロジェクトの方向性をめぐって対立。結果、サン・ケーブルは売却されることになった。