2023.02.26 12:00

メルセデスSクラスのEV版「EQS」は高級セダンを変えるタイムマシン

航続距離580km。AMGもあるぞ

パワートレインは現在2種類あり、EQS 450+は最高出力333ps、最大トルク568Nmを発生し、EQS 580は最高出力520psを発生する。さらに重要な数字を紹介しよう。450+は後輪駆動でシングルモーター、航続距離は600km、580はツインモーターで全輪駆動、航続距離は580kmだ。しかし、リアルワールドでは、450+の航続距離は500kmほどと大型車にしてはなかなか良い。メルセデス製の107.8kW 400Vリチウムイオンバッテリーを積み、200kWの急速充電器を使えば、31分で10%から80%まで充電することができる。

EQSは、インテリアの豪華さやハイテク機能に関してはテスラを圧倒しているが、例えばモデルSのような速さではない。2500kgの重量があるEQS450+は、0-100 km/hを5.7秒で十二分に許容範囲だが、モデルSより3秒以上遅い。静止状態ではEQSは未来的なバックグラウンドノイズを発生し、急加速が必要な場合は人工的な「メカニカル」サウンドに変化する。



450+にはアダプティブ・エアサスペンションとリアステアリングが標準装備されている。後輪を回せることは、狭い駐車場での駐車に大きな効果を発揮するが、これは小気味よい。回転半径の縮小や高速走行時の安定性の向上にもつながる。

サスペンションは、最もダイナミックなセッティングでもソフトだが、それでもある程度の硬さと安定性を備えている。ステアリングは正確だが、特に低速走行時には少し軽い。EQS 450+と580のモデルは、世界最高レベルのラグジュアリーとテクノロジーを提供し、そのこだわりから、スポーティな乗り心地よりも静かでソフトな乗り心地を実現している。より高いパフォーマンスとシャープなハンドリングを求めるなら、メルセデスAMG 53の購入がお薦め。

450+にはエコ、コンフォート、スポーツの3つの「ダイナミックセレクト」ドライブモードがあり、ステアリングホイールに取り付けられたパドルで回生ブレーキのレベルを調整することができる。

ブレーキといえば、ペダルの感触は信頼感に欠けるが、それでも時速100km/hから34メートルと同クラスでは良い数字。これからは、すべてのラグジュアリーEVがEQSに目指すものになるだろう。

 EQS 450+は強烈に印象的なリムジンであり、1578万円というスタート価格も印象的だ。航続距離は最大600km、ガッツのある楽な走りを実現し、長距離移動でもスムーズで静かで快適、そして我々が見た中で最も高度なハイテク機能のパッケージが用意されている。そして、ハッチバックであることが、このクルマの実用性をさらに高めている。こんなタイムマシンはいかが?

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
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