そう思ってしまう人は、あなただけではない。
医学誌「Journal of General Internal Medicine」で発表された研究論文によれば、自分の成功が偽りのように思えてしまう「インポスター症候群」(インポスターは詐欺師・ペテン師の意味)に苦しむ人は82%に上る。誰が見ても成功しているのに、自分をどうしても過小評価してしまう人は多いのだ。
皮肉なことに、大きな成功を収めた人は、とりわけインポスター症候群に陥りやすい。たとえば、仕事で些細なミスをするたびに、くよくよ思い悩んだり、成功できたのは単に運が良かったからだとか、自分以外の力によるものだったと思い込んだりする。また、自分の能力やスキルを現実的に判断することができない。
インポスター症候群を放置しておくと、甚大な影響を生む恐れがある。不安障害やうつの発症につながることもあれば、仕事で思い切った行動をとれなくなったり、燃え尽きたりすることがある。
そこで、キャリアを歩んでいく上で陥りがちなインポスター症候群に立ち向かう方法を5つ紹介しよう。
1.信頼できる人に、気持ちを打ち明ける
人間とは奇妙なもので、心の中に存在する先入観のせいで認識が歪んでしまいやすい。自分自身や、自分の成し遂げた業績について、自分にはそんな価値はないとか、「運」がよかったからだとか、他に要因があったからだと思い込んでしまうことが多いのだ。しかし、自分の考えと事実は、大きくかけ離れている可能性がある。誤った考え方で自らを責めたりせず、信頼できる人に気持ちを打ち明けてみよう。自分の視点ではなく、友人やメンター、同僚の視点を通じて自分を見直してみれば、偏りのない視点を持てるし、自分に対して思いやりのある見方もできるだろう。そうすれば、自分は成功や賞賛に値しない人間だという気持ちは薄れていく。