この投資は、ウォール街では支持を集めてきたが、共和党からは金融機関がその権力を使って、いわゆる「Woke(ウォーク)」と呼ばれる社会的正義を重視するエリート主義を助長すべきでないという声が上がっている。
2月22日には、25の共和党主導の州が連邦判事に、退職年金制度(ERISA)が投資決定においてESG要素を考慮することを認めるバイデン政権の規則の阻止を要請した。彼らは、ESG投資が財務的な利益よりも「ウォーク」な社会的ルールを重視することによって、1億5200万人の労働者の「退職金に対する主要な保護を損なう」と主張している。
しかし、労働省と規則の推進者は、気候変動リスクの対象となる投資は最終的に利益に影響を与えるため、ESG投資は財務リターンに関連すると主張している。州資産のESGへの投資を完全に禁止する連邦法は成立していないが、アイオワ州、ワイオミング州、ノースダコタ州などの共和党系の複数の州が、独自の法律で州年金基金の投資にESG要素を盛り込むことを禁止している。
トランプ政権時代に労働省は退職年金制度におけるESG投資を抑制する規則を可決したが、昨年11月にバイデン大統領はこの規則を緩和し、雇用主が401(k)プランで気候変動やその他のESG投資を検討することを容易にした。しかし、共和党は州の資産をESGや社会的インパクトのある投資に使うのをやめさせようとしている。
22日に2024年米大統領選の共和党候補になることを発表した投資家のビベック・ラマスワミ(37)は「ウォークな資本主義」を批判して保守派の界隈で有名になった人物で、ESG投資に注力する世界最大の資産運用会社であるBlackrock(ブラックロック)を批判している。
昨年8月には、アリゾナやネブラスカなど伝統的に共和党が強い州の司法長官19人が連名で、ブラックロックの会長兼CEOのラリー・フィンクに書簡を送り、同社のESG投資が州年金に悪影響を及ぼすと主張した。その後、フロリダ、ミズーリ、ルイジアナなどの州が、ブラックロックの年金基金からまとめて30億ドル(約4040億円)以上を引き上げた。
(forbes.com 原文)