研究チームが推定した25兆ドルという金額は、世界GDPに対する0.55%の課税に相当する。
204の国と地域(世界人口の99%以上をカバー)における29種のがんのデータに基づく経済モデルを使って、研究チームはがんに関連した死亡と疾患に関わる治療費、労働、生産性の損失、失業、資本投資の減少などさまざまな負担を評価した。
2017年の米ドルの価値を用いて計算されたコストは、均等には分布していない。中国(6兆1000億ドル、約820兆円)、米国(5兆3000億ドル、約713兆円)およびインド(1兆4000億ドル、約188兆円)という現在世界で最も人口の多い3カ国の合計が世界の経済的負担のおよそ半分を占めている。
1人当たりでは、モナコ(8万5230ドル、約1146万円)、アイルランド(5万4009ドル、約726万円)、バミューダ(2万732ドル、約279万円)が最も負担が大きく、GDPに対する割合ではブルガリア(1.42%)、モナコ(1.33%)、およびモンテネグロ(1.09%)が最も多かった。
コストは、がんの種類による分布も不均衡だ。気管、気管支および肺がん(3兆9000億ドル、約523兆円)にかかる費用は、調査した中で最も経済コストの少なかった中皮腫(690億ドル、約9兆円)の56倍以上の費用を要すると推測された。
気管、気管支および肺がんは、結腸および直腸がん(2兆8000億ドル、約377兆円)、乳がん(2兆ドル、約269兆円)、肝がん(1兆7000億円、約228兆円)および白血病(1兆6000億ドル、約215兆円)を合わせると、がんに関連する世界経済コストの半分を占めると研究チームは述べている。