がんは3300兆円以上の損失を2050年までに世界に与える

がんは2050年までに世界経済に数千兆円の負担を強いると研究チームは推測する(Getty Images)

裕福な国々ががんに関連する経済コストの大部分を占めていると研究チームは述べており、12兆8000億ドル(約1723兆円)の損失は、合計GDPの0.72%、1人当たり1万ドル(約135万円)に相当する。低所得国における経済負担はずっと少なく、合計で1680億ドル(約23兆円)、GDPの約0.26%、1人当たり174ドル(約2万3000円)だった。この数値に関わらず、世界人口の85%以上(世界銀行の世界開発指標による)を占めるこれらの国々は、がんによる大きな人的コストを負担しているという事実がある。中低所得国は、がんによる障害調整生存年数(DALY)の75%を占めている。DALYは早すぎる死と健康障害による損害を評価するために用いられている指標だ。

死亡6人中1人。これはWHOが調べた2020年にがんが原因で死亡した人の数で、全世界で1000万人近い。がん死亡の約3分の1が喫煙、高BMI、アルコール摂取、果実・野菜摂取不足および運動不足が原因だとWHOはいう。

さまざまな疾患群の包括的名称である「がん」は、一貫して全世界で最大の死亡要因だ。心臓病と並んで、がんは過去数年間に新型コロナより多くの米国人を死に至らしめた数少ない疾患であり、米国におけるがんによる死亡数が減っているにもかかわらず、近い将来がんが最大死亡要因の座を譲ることはなさそうだ。

がんは予後、リスク要因、原因を含めて対処が複雑な疾患だ。研究チームはこの結果について、政策立案者に総合的な展望をもたらし、がん抑制の重要性を説明する役割を果たすものだという。抑制方法は、研究開発、スクリーニングと診断の強化、治療方法へのアクセスの改善、すぐれた治療法の開発やタバコの増税や公共の場所での禁煙といった取り組みなど多岐にわたる。2022年、バイデン大統領は、副大統領時代に指揮した今後25年以内にがん死亡を50%減らすことを目標とする挑戦的ながんプロジェクトを復活させた。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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