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2023.02.27

クアルコムが出資のイスラエル製「AI買い物かご」の実力

MangKangMangMee / Shutterstock.com

テルアビブに拠点を置くShopicは2月21日、イスラエルの大手スーパーマーケットチェーンShufersalの30店舗に、3月末までに少なくとも2000台のスマートカートを配備すると発表した。

Shopicのデバイスは、買い物客が普通のカートに取り付けるクリップオン式のユニットで、コンピュータビジョンアルゴリズムを用いて、人工知能(AI)がカートに入れられたすべての商品を識別し、99.4%の精度で商品の追加や削除を検出するという。

このツールを試験的に導入したShufersalの店舗では、すでに売上の12%から15%を処理しており、Shopicを使用した場合、顧客の買い物のサイズは平均より78%大きくなったことが確認された。また、このカートの導入で月間の消費額は8%増加したという。

さらに、通常のセルフレジでは3分半、レジレーンでは9分かかるチェックアウトのプロセスが、スマートカートでは1分未満に短縮できたとされる。また、Shopicは買い物客から高い好評を得ており、顧客満足度スコアの平均は85~95%に達している。

2015年に設立されたShopicは、昨年8月にQualcomm Ventures(クアルコム・ベンチャーズ)が主導したシリーズBで3500万ドル(約47億円)を調達し、調達額の総額は5600万ドル(約76億円)に達している。同社の投資家にはShufersal に加えIBI Tech Fund、Tal Ventures、Claridge Israel、Vintage Investment Partners、Clal Insuranceなどが含まれている。

調査会社のResearch and Marketsによると、世界のスマートショッピングカート市場は2022年に14億ドル(約1910億円)に達し、2030年には97億ドル(約1兆3240億円)に達すると予測されている。米国では最近、東海岸を中心に展開する大手スーパーのWegmans(ウェグマンズ)が、ニューヨーク州の2店舗でShopicのスマートカートをテスト中という。
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編集=上田裕資

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