いまや精度だけを求めるならば、クォーツや電波時計、GPSなど高精度の時計が存在する。しかし時計好きの多くは機械式時計が大好きだ。その機械式で可能な限り高い精度を出したい、というメッセージが込められたモデル「Kodoコンスタントフォース・トゥールビヨン」がグランドセイコーから登場した。
ご存じの通り、機械式時計は巻き上げられたゼンマイが、ほどけていく時に発生するパワーを動力源にして針を動かしている。ただその力は一定ではなく、巻き上がったところで最も強く、ほどけていくにつれ弱くなっていく。つまり、徐々に正確さが失われていくのである。
ということは、ゼンマイの力(トルク)を一定にすれば精度は上がる。そこで必要になる機構がコンスタントフォースである。ゼンマイの力を別の小さなバネに蓄えることで、そのバネが元に戻ろうとする力で振り子やテンプを動かし、トルクを一定に保つことができる仕組みである。
一方、一般的に固定される時計の心臓部“テンプ”と周辺部品をキャリッジ(カゴ)に入れ、回転させることによって、重力の影響をプラス、マイナスの力として振り分け、一回転することで力を相殺して精度を維持するのがトゥールビヨン機構だ。
重力による姿勢差を構造的になくすのではなく、重力を利用して姿勢差を解消。重力による精度誤差を改善する仕組みである。
どちらも非常に難しい技術を要する機構なので、搭載できるブランドは限られてくる。この「Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン」は、難度の高いそのふたつの機構を同軸に備えて一体化することで、安定した高精度を実現させた腕時計なのだ。もちろん、世界初のムーブメントである。
そして、この画期的な8振動/秒のムーブメントは精度だけでなく、別の魅力をもたらした。その動きとリズムで感性を刺激してくれるのである。
テンプが毎秒8振動することで、内側のトゥールビヨンキャリッジが滑らかに回転し、外側のコンスタントフォースキャリッジは、その回転に追従して1秒に1回の間隔で回転する。まるでコンスタントフォースがトゥールビヨンを追いかけているかのような動きが目を楽しませてくれる。
さらに、テンプから生まれる1秒に8回の刻音と、コンスタントフォースから発生する1秒に1回のリズムによって、16ビートを刻むのである。
高精度を追求したグランドセイコー初のコンプリケーションウォッチは、実用性に加え、視覚と聴覚までも刺激する、非常に魅力にあふれたものとなった。
ムーブメント|手巻き Cal.9ST1
ケース素材|プラチナ950、ブリリアントハードチタン
ケース径|43.8mm
価 格|¥44000000
問い合わせ|セイコーウオッチ 0120-061-012