このデータを報告したアプリ関連の調査企業Appfiguresのアリエル・ミカエリCEOは「これにはまったく驚いていない」という。「今、ChatGPTの周りにはたくさんの興奮があり、無料でアクセス可能だが、プレミアムアカウントを持っていない限り、ほとんど利用できないこのアプリが注目されるのも自然なことだ」と彼は述べている。
マイクロソフトのオープンAIへの投資とBingのChatGPTとの統合は、検索クエリに対して、詳細で文脈に沿った回答を提供することで、検索に革命を起こす可能性を秘めている。AIが正しくない答えや、事実誤認、あるいは怒りの回答を提供するケースも報告されているが、ジェネレーティブAIによる人間らしい回答やレスポンスは、おおむね高く評価されている。
そして、この新たなテクノロジーが検索エンジンの市場シェアに変化をもたらすかもしれない。
アクセス解析サービスのStatCounterによると、Google(グーグル)は検索エンジン市場の文句なしのヘビー級チャンピオンで、世界の市場の93%のシェアを握っている。Bingはそれに次ぐ3%前後を占めており、YahooやYandex、Baidu、DuckDuckGoなどが、その残りのわずかなパイを分け合っている状態だ。
93%ものシェアを誇る巨大な敵に戦いを挑む場合、あらゆる手段を検討してみるべきだろう。これが、マイクロソフトが検索エンジンの戦いに新たなテクノロジーを持ち込む理由だ。
結果として、新たなBingのアプリには新規ユーザーが殺到したが、そのほとんどは真新しいテクノロジーを試してみたいアーリーアダプターだった。Bingアプリのダウンロード数は2月8日のピーク時には15万件以上に達したが、翌週の14日には5万件以下に減少し、初期の熱狂は早くも小康状態に落ち着いた。
「本当の疑問はまだ残っている。スマートな回答サービスによって検索は進化するのだろうか?」と、Appfiguresのミカエリは問いかけた。それはまだ、本当にどうなるかわからない。
グーグルは、Bardと呼ばれるChatGPTのライバルの発表を急いだが、その結果、このAIには欠陥があることが露呈し、同社の親会社のAlphabet(アルファベット)の株価は1日で8%も急落した。
今後の最も可能性の高いシナリオは、グーグルとマイクロソフトを含む各社が、数年の間にジェネレーティブAIをより良く機能させる方法を見つけ出すことだ。そのためには、AIがより質が高く安全な回答を提供するように進化することが必要だ。
(forbes.com 原文)