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2023.03.01 10:00

「起業家版の大谷翔平」を 日本企業の米国上場を牽引する投資家の野望

DRONE FUND創業者でPONO CAPITAL社外取締役の千葉功太郎氏

DRONE FUND創業者でPONO CAPITAL社外取締役の千葉功太郎氏

2001年、KLabの取締役に就任。2014年にはコロプラを取締役副社長として東証一部上場に導いた後、DRONE FUNDを設立。起業家コミュニティ「千葉道場」を主宰するなど、出色の経営者であり、個人投資家でもある千葉功太郎氏。
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そんな千葉氏が社外取締役を務めるSPAC(特別買収目的会社)PONO CAPITALとの合併を通じて、今月2月6日、DRONE FUNDファミリーである、実用型ホバーバイク開発のA.L.I. Technologies(東京)の米親会社AERWINSが、NASDAQに上場した。そこで今回は千葉氏に、日本初のSPAC上場秘話を伺った。

空飛ぶバイクのA.L.I.が、NASDAQ上場を果たすまで

SPACとは特別目的買収会社 (Special Purpose Acquisition Company)の略で、未公開会社の買収を目的に設立される会社である。そのため、自社事業を持たない。SPACの利点は、買収対象の会社が株式上場をするために必要な手続きを簡略化できることだ。また、投資家はSPACに資金を提供することで、将来的に買収された会社の株式を保有できる。

アメリカではすでにSPACが数百社設立され、広く普及した上場手法となっているが、日本では現状、認められていない。SPAC Researchによると、2013年から2020年のSPACによるIPO件数は10件から156件へと大幅に増加し、資金調達額は10億から580億へと膨らんでいる。

千葉氏がSPACに出会ったのは、2021年3月。アメリカがまさにSPACバブルの絶頂期を迎えていた頃だった。千葉氏は当時ハワイ在住だったため、アメリカにいる地乗りを生かし、現地のスタートアップ3社にエンジェル投資を始めた。しかし、ハワイでエンジェル投資を行っても、周囲からは単なる趣味として捉えられてしまう。そのため誰から見ても社会的意義がある事業を創れないかと、模索していた。
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そんな中、知り合いの起業家との会食でSPACの存在を耳に挟んだ千葉氏は、居合わせた全員から2時間のレクチャーを受け、その場でSPACを行うことを決意。そして翌月の4月には上場申請書類を提出し、同年8月にはPONO Capital1号としてNASDAQで上場を果たした。シードから上場まで半年を切るスピード感は、まさにアメリカのダイナミズムを象徴している。

PONO Capital1号は先述の通り、空飛ぶバイクこと実用型ホバーバイク「XTURISMO」などの開発・販売を手がける国内ベンチャー、A.L.I.の米親会社AERWINSと合併上場。今年2月6日に、NASDAQ市場で株式売買が始まった。これにより、実質的にA.L.I.がNASDAQに日系企業として初めて上場を果たしたことになる。

上場初日の時価総額は、終値ベースで約480億円。日本の市場では、売上ゼロのディープテック系スタートアップが、そうした高評価を得ることは不可能に近い。今回のA.L.I.のNASDAQ上場は、日本のディープテック企業がグローバルで再評価を獲得する手法になり得ると千葉氏は考えている。

A.L.I. Technologiesの実用型ホバーバイク「XTURISMO」(プレスリリースより)

A.L.I. Technologiesの実用型ホバーバイク「XTURISMO」(プレスリリースより)

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文=戸村光 構成= 金二美香、鬼木杏梨

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