リンカーンウッド店は2019年に開業した。面積は4万1700平方フィート(約3900平方メートル)で、近年オープンが相次いだほかのピックアップ&デリバリー専門店の中ではかなり広い。
リンカーンウッド店を利用する時はまず、ウォルマートの公式サイトかモバイルアプリで食料品などを注文する。その後、指定の時間になったら、駐車場内の張り出し屋根付きの受取所に行って、商品を受け取る仕組みだ。
ウォルマートの広報担当者フェリシア・マクラニーは、同社はシカゴ近郊ではリンカーンウッド店を含めて3店舗を閉鎖すると述べ、この決断について「徹底的な評価プロセス」を経て下されたと述べた。この評価プロセスでは、それらの店舗が期待に沿った業績をあげられなかったことが明らかになったという。
小売業界に関するオンラインフォーラム「リテールワイヤー」の専門委員会「ブレイントラスト」に参加した小売業界専門家たちは、ウォルマートの今回の動きについて、ピックアップ専門店というコンセプトには何らかの欠点があることを示す兆候だとみている。
小売業者向けソリューションを提供するアプトスのマーケティング・ディレクターであるデイヴ・ブルーノは、イリノイ州に4万7000平方フィートもの広さをもzもつ店舗を構えたことが閉鎖の一因になった可能性があると述べている。
ブルーノは、ピックアップ専門店がビジネスとして成り立つためには、ターゲット顧客層の住む地域の近くに店を構える必要があると述べた。
一方、小売コンサルタント、ザ・リテール・ドクターのボブ・フィッブス最高経営責任者(CEO)は、こう述べた。「確かにコロナ禍のさなかでは、オンラインで注文した商品をピックアップできるサービスが順調だった。しかし、誰とも会話を望まず、店舗までクルマで行って商品を受け取るために待つことに価値を感じる人も少しはいるが、大半の買い物客はそうではない」
RSRリサーチの共同創業者ポーラ・ローゼンブラムは「私の考えでは、こうした店舗形態は、コロナ時代ならではのものだ。結局のところ、ウォルマートには他にやるべきことがあると思う」と述べた。