せめて月に一度、可能なら二度でも三度でも、誰にも邪魔されず、リモートワークや寛ぎに、また遊びにと、自分のために滞在してみるといい。
日本のホテルは旅館の歴史と相俟って、伝統的かと思えば西洋のホテルのごとくスタイリッシュに最新鋭設備を纏い東西融合の感性が心地いい。
もてなしは繊細な日本流、デザインも世界が認める洗練さが光る。
まずは週末、金曜日の夜にチェックイン、ゆったりと日曜日の午後まで、我儘な時を満喫するのが大人のホテル利用の流儀である。
ホテルジャーナリスト せきねきょうこ
都会の閑静な住宅地に緑の庭園、ホテルが誇る好環境
再開発が進むJR品川駅の高輪口から車でわずか4~5分程。超都心とは思えない閑静な高級住宅地が広がる御殿山に、‘御殿山トラストシティ’という高層ビルが2棟建っている。「東京マリオットホテル」(全249室)はそのビルの1棟を占め、JR品川駅からは無料バスの往来も有るアクセスの良さが都会らしい。
その都会の中心地でありながらホテルの敷地には広大な緑の「御殿山庭園」が寄り添い、人工の大きな滝が流れる贅沢な空間が広がっている。近所の人々にも開放されている庭園は散策をする人もいれば、季節が良くなるとベンチに座ってのんびりと時間を過ごす人もいる。
「現在、6割ほどは外国からのお客様が占めています」とホテルの関係者が言う。彼ら外国人ゲストはもちろん、ビジネストラベラー達にとっても、都会の中心にあるこの広い庭園は心を穏やかに休め、滞在を歓んでいるに違いない。
敷地の南側を占めるこの御殿山庭園は江戸時代から桜の名所として知られ、約2000坪に及ぶ庭園内には、鬱蒼とした緑に包まれるように、建築家磯崎新氏設計の茶室「有時庵(うじあん)」がひっそりと佇んでいる。
ホテルが御殿山の地にある意義や、都心において年輪を感じさせる巨木を始め、木々の緑を堪能し、四季折々の自然の彩に魅せられ、滝の水音に五感が癒される。静謐な環境でゆったりと眠れる静かな都会のホテルの環境は貴重であろう。
もともとマリオットホテルの名は、国際的なチェーンホテルとして日本でも周知されている。とりわけここ東京では御殿山という立地から、歴史や文化にこだわり、高貴な色とされる紫色がしばしば使われているのだ。
かつて品川御殿のある山として、特に三代将軍徳川家光が鷹狩りを楽しんだという丘陵地であった場所。歴史的な背景は大切に継承したいものである。