経済・社会

2023.02.25 11:30

思いは地球をリレーした! 北野武が語ったアフリカ「人づくり、20年後のすごい展開」

北野 武(映画監督)

北野:北海道の田中義剛の「花畑牧場」にアフリカ人3人を送り込んで、酪農技術を2年ほど教育させたことがあった。ところがさ、真冬でも暖房があって快適だし、ご飯も食べられるから、「ここは天国。帰りたくない」って言い出したんだよ。
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俺はゾマホンに「アフリカから呼んだ目的と違うじゃないか。帰れって言え」と言ったんだ。 泣く泣く彼らは牛を連れて帰国したんだけど、事業になってないという。理由を聞いたら、牛を食べちゃったんだよ(笑)。「何やってんだよ!」と言うと、「いえ、何頭か残してあります」という。でも、残したのは全部雄牛。「オスだけ残したってしょうがねえだろ!」って。現地でゾマホンが注意したらしく、何とか事業を始めたと言っていたよ。

長い目で見て仕組みをつくるより、目先のお金や食い物に飛びつくのは、人間だから仕方がないんだけどさ。

そのころ、ボクシングのフロイド・メイウェザーが現役で、ギャラを聞いたらすごくて(※1試合の賞金と放映収入で約30億円以上)、ゾマホンに「ベナンでいちばん足が速いやつを連れてこい」って言ったんだ。身体能力が高いのを日本のジムで鍛えて、ボクサーにしようと思ってね。「稼いだカネでベナンに留学制度をつくって、全員日本の医学部に入れて、ベナンで診療所をやらせよう。診療所と薬は俺が用意するから」って。
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ところがさ、「強い男がいる」って連れてきた男が、「殴り合いは嫌いです」と言い出した。慌てたゾマホンが、「私がやります」って言うんだけど、「お前は、年だからダメだよ」となっちゃった。
 
映画やテレビの激務の合間に支援を続けて約20年後の2018年、たけし日本語学校に、ゾマホンがひとりの日本人を連れてきた。この男がたけし日本語学校で目にした「あるもの」をきっかけに、新たな物語が生まれ、活動は大きな事業へとつながっていく──。

後編は、本日発売の『Forbes JAPAN』4月号にてお読みいただけます。
 


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文=藤吉雅春 写真=ヤン・ブース スタイリング=堀口和貢

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