経営・戦略

2023.02.23 11:00

スピーディー&パーソナライズが鍵。ECとコロナ禍で小売はどうなる?

倉庫では人材不足を解決するため、ロボットやAIの活用が進んでおり、成長の余地が大きい分野です。コロナ期に成長したのは、注文から10分程度で都心部の倉庫から商品を届ける「クイック・コマース」という業態です。現在、コロナ後の消費ニーズに合わせた新しいサービスモデルに生まれ変わる過渡期にいます。

また、高価な商品におけるパーソナライゼーションは、安価な商品にも生かせます。例えば、アレルギーのある消費者は、食品を買う際に詳細な成分情報を求めますが、商品パッケージを360度見ることができる通販サイトはごくまれです。

ECサイトのSHEINが世界で急拡大していることにも注目しています。製造拠点の労働環境についての批判もある一方で、同社は多様な人種・体形のモデルの活用やサイズ展開の豊富さなど、商品のローカライズにおいては非常に優れています。多くのアパレル企業はまだサイズ12までしか製造していませんが、SHEINはおしゃれを楽しむ機会を多様な体形の人々に与えているといえます。

報酬面や人材の扱い方については、ドイツの低価格スーパーマーケットのAldi(アルディ)やLidl(リドル)も参考になります。SHEINはまだ若い企業ですが、サプライチェーンや人材の扱いも、今後各地の商慣行に合わせていくでしょう。


デボラ・ワインズウィッグ◎シカゴ大学経営大学院卒業。シティグループ、Fung Global Retail and Technology 等を経て2018年にCoresight Researchを設立。ワールド・リテイル・コングレスや複数のアクセラレーターの諮問委員も務める。

文=菊池友美

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