「メタバース元年」の潮流も相まって、リーディングカンパニーとして急成長を遂げたクラスターは、今年からはグローバル進出を目指すという。
しかし、黎明期とされる現在、こうしたメタバースのトレンドを冷ややかに、あるいは焦りをもって見つめているという人も多いのではないだろうか。
クラスター代表取締役CEOの加藤直人氏は「インターネットの世界でこれまで出遅れてきた日本にとって、今は最大のチャンス」と参画を呼びかける。
インタビュー後編では、現状の課題とビジネス活用のポイントを聞いた。
>> 前編:国産メタバースのクラスター、今年は「世界を狙う」
──前編で、課題として第一に「グローバル展開」をあげられましたが、法的な課題についてはどのようにお考えでしょうか。
ソーシャルプラットフォームにおける犯罪やハラスメントへの懸念については、これまでにないケースが起きることも想定されますから、適切に対応していかなくてはなりません。
ただ、新たに法で縛っていくという前に、現行法の範囲でプラットフォームのガイドラインを整え、対応していくべきだと考えています。そういった整備が遅れるプラットフォームは、どんどん淘汰されていくはずです。ダークなサービスには、ビジネスもクリエイターも集まらないですから。
「cluster」はどこよりもクリーンで王道だと誇れるプラットフォームを目指して、ストアの審査や迷惑行為のパトロール等々、皆さんに安心して楽しんでもらえるように努めて運営しています。
デジタルアイテムの売買についても、「cluster」ではクリプトカレンシー(暗号資産)を使っていないので、今のところ、現行法でカバーできると考えています。web3のクリプト文脈とメタバースは、完全に分離して考えるべきだというのが僕の主張です。
──VRデバイスの性能進化については?
VRデバイスを僕はいちメディアとして捉えていて、メタバースの文脈でこの話を出すのはあまり意味がないと思っています。
ロブロックスにしてもフォートナイトにしても、VRユーザーは多くないはず。そこにこだわって、メタバース発展の可能性を考えてしまうと話の軸がずれるからです。
「cluster」ユーザーのデバイスは、スマホが7割、PCが1割で、VRユーザーも2割いますから、もちろん、VR環境でも楽しい空間を提供したいと強く思っています。産業としての広がりの点でも、とても期待しています。ただ本質はデバイスではなく、3DCGの民主化です。
新たな「経済圏」を創出
──ビジネス活用については今後どう発展していくでしょうか。先進事例はありますか?昨年11月に制作発表した、近鉄不動産との「バーチャルあべのハルカス」が3月29日にオープンします。