ウクライナの民主主義評価は?
今年の「民主主義指数2022」の報告書は、ウクライナにおけるロシアの戦争と、ヨーロッパと世界の国々の民主主義の将来にとっての、民主義指数の重要性に焦点を当てている。民主主義のための戦いに対するウクライナ人の献身は感動的ですらある。人々を団結させる上での、民主主義の理念と原則の力が示されている。
2014年の革命の際は、ウクライナという国が東と西に分かれていたため、ウクライナ人の明確な国家のアイデンティティを定義することが難しかったと仮定すれば、2022年のウクライナのロシア支配に対する闘争は紛れもなく、ウクライナ国家としての国民の自己同一性を強めたのである。
ただ、ウクライナの民主主義の評価について言えば今年は87位で、昨年に比べて一段悪化している。
ロシアは2022年最大の「民主主義劣化国」?
ウクライナ人による闘争を「行動する民主主義」とすれば、ロシアのウクライナ侵攻は「行動する帝国主義的思考」とでもいうべきだろうか。2022年末には、ロシアは「戦場で敗北」しているだけでなく、国内外での「プロパガンダでも敗北」していることが明らかとなったのではないだろうか。
戦争と、その望まぬ結果の副作用として、あらゆる形の反対意見に対する弾圧が強まり、プーチンへの権力集中がさらに進み、ロシアは本格的な独裁国家に近づいた。2022年のロシアの民主主義指数は、世界で最も悪化していた。
先駆者:北欧諸国と西ヨーロッパ
北欧諸国(ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、アイスランド、デンマーク)はランキングの上位6位中5位を占め、ニュージーランドが2位に入った。ノルウェーは、すべてのカテゴリー、特に「選挙プロセスと多元主義」、「政治文化」、「政治生活への参加」で最も高いスコアを獲得し、再びランキングのトップに立った。
西ヨーロッパ諸国は、総合ランキングの上位10位中8位を占め、「完全民主主義」カテゴリーに含まれる24カ国のうち半数以上(14カ国)を占めている。また、この地域は2021年と比較して最も大きな進展がみられた。