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2023.02.27 10:00

キャリア入社組のD&I 既存の「群れ」を壊し、活躍を促す

Getty Images

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業績向上に結びつくD&I 推進のヒントを紹介していくシリーズ。前回まではD&Iのプロセス別に取り上げてきたが、今回からはターゲット別に紹介していく。テーマは、「キャリア入社組」のインクルージョン。

せっかく優秀なキャリア人材を採用しても、彼らが新しい環境に馴染めなければ、高いパフォーマンスは発揮できない。ところが実際には、十分なオンボーディング(受け入れ体制の整備)が行われていない企業も多い。

キャリア入社者が早期に活躍できる職場環境を整えるために、D&I担当者はどのような手を打つべきなのか。乗り越えるべき3つの難所と克服方法を説明する。

「一対多」を「一対一」に

キャリア採用の経験が少なく、新卒採用の実績が多い企業では、キャリア入社者に対するインクルージョンのマインドが根付いていないケースが目立つ。キャリア採用された新しいメンバーが部署に入ってきても、積極的に声をかけようとせず、いつもと同じメンバーだけでランチに行ってしまう光景は、よく見られるものだ。

しかし実際には、キャリア入社者は既存社員にはない専門性やノウハウを補うために採用されたケースが多く、いわば会社の業績を高めるために現れた救世主のような存在だ。既存社員には、排他的な姿勢を改めてもらう必要がある。

そこでおすすめしたいのが、「群れを壊す」という方法だ。既存社員は群れる傾向があるため、キャリア入社者と既存社員はともすると「一対多」の構造になりやすい。するとキャリア入社者は疎外感を覚え、組織に馴染みにくくなる。ところがいざキャリア入社者が既存社員の一人ひとりと話をしてみると、案外相性の良い人が見つかることもある。

D&I担当者には、キャリア入社者と既存社員が一対一、あるいは一対少数で話せる機会を作ってみてほしい。座談会を企画しても良いし、受け入れ部署に働きかけても良い。話が盛り上がれば、キャリア入社者が安心することはもちろん、既存社員がインクルージョンのマインドを持つきっかけになるだろう。

また、歓迎会はできるだけ入社日の当日か、入社から日を空けず行うように、受け入れ部署に依頼するのも効果的だ。歓迎会が行われるまでの間、キャリア入社者に歓迎の気持ちが伝わりにくく、キャリア入社者は孤立しやすい。一日でも早く彼らが受け入れ部署に打ち解けられるようにする機会を設けることで、彼らが実力を発揮できる日が早まるはずだ。

暗黙のルールを共有する

多くのキャリア入社者は、転職先企業に存在する「暗黙のルールを知る手段がない」ことに頭を抱えている。暗黙のルールとは、例えばファイルの保存場所やSlackのスタンプの使い方、オンラインミーティングで顔を出すのか、などといった職場のとても小さな決まりごとだ。

明文化するほどではないと思うかもしれないが、こうしたルールを理解しないまま業務に取り組まなければならない状況は、まるで地雷原を歩かされるようなもの。キャリア入社者にとって、相当なストレスになる。

そのためD&I担当者は、社内に存在する暗黙のルールをできる限り検索可能な場所にまとめて掲示しておくといい。キャリア入社者が簡単にアクセスできれば、イントラネットでもスプレッドシートでも、ツールの種類は問わない。
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文=吉本明加

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