まるで好奇心や礼儀を持ち合わせていないようだ。
「人の話を聴く」スキルを磨くために役立つ優れた教材はたくさんある。その中でも、最も優れた書籍の1つが、スティーブン・R・コヴィーの名著である 『7つの習慣』だ。
こんな古典的な本からは、もうそれ以上新しい発見はないと思うかもしれない。私もそうだろうと思っていた。そこで、著者の息子であり、現在は著名なオピニオンリーダーのショーン・コヴィーによる考察がボーナスとして収録された、『7つの習慣』30周年記念版を慎重に読み直してみた。
ここでは、コミュニケーションと共感という重要な問題に対するショーン・コヴィーの洞察を紹介する。
ロジャー・ディーン・ダンカン(著者) 現在の政治文化は、合理的な対話の著しい欠如に陥っています。書籍の「習慣5」(まず理解に徹し、そして理解される)を導入し、実践するための方法を教えて下さい。
ショーン・コヴィー 私たちは、話し方、書き方、そして考え方を教わります。しかし、最も重要なコミュニケーション・スキルである「聴く」ことは教えられていないのです。政治家の対談やテレビ番組の会話を見ていると、そこにはモノローグしかありません。誰も相手の話を聞いていません。それどころか、相手の話に対する反論を用意しているだけです。結果、私たちは争いに巻き込まれ、多くの可能性を見逃してしまうのです。
もし、人々がこの「習慣5」を実践して、自分の意見を述べる前にまず相手を理解しようとしたら、どんなことが実現できるかを考えてみてください。
私たちの多くは、聴くスキルが低いのです。私たちは、自分の頭で考え、助言し、解釈し、自分の体験に基づいて答えます。「ああ、気持ちはわかるよ。同じような境遇になったときを思い出すね、そのときやったことは...(などなど)」。相手がこちらを理解するための時間をとらなかったので、こちらも彼らの言うことを聴いてなどいません。
共感的傾聴とは、相手の立場に立って真に理解しようとすることです。理解しようとする以外の意図を持たずに、相手の立場に立つのです。そのためには、相手が言っていること、感じていることを自分自身の言葉で返すのが一番です。「スーザン、私の理解が正しいなら、ジョンがいつもあなたの仕事を自分の手柄にしてしまうことに腹を立てているのですね。裏切られたような気持ちになると。それが原因でチームから抜けたいと思っている。そういうことですよね?」
「習慣5」は、多くの人が「自分は上手くできている」と思いながら、実は一番できていない習慣なのです。「私はかなり聴き上手だと思います」と言う人は、実際は、相手の視点ではなく、自分の視点で聴いているのです。相手を理解するためではなく、答えるために話を聴いているのです。相手の立場に立っていないのです。そして、本質的な問題を発見することもなく、人の心を十分につかむこともできないなど、多くのことを見失ってしまいます。