北米

2023.02.19

米国はTikTokを禁止できるのか? バイトダンスが取る対抗策とは

Getty Images

TikTokの対抗措置1:「表現の自由」を主張する

一般的にはあまり知られていないが、政府は憲法修正第1条の下で言論を制限することが可能で、実際に制限している(例えば、昼間のテレビでポルノが流れないのはそのためだ)。しかし、制限を受けた側は、権利侵害を主張して、訴訟を起こすことが可能だ。

現代の憲法では、言論や表現に対する制限は、可能な限り狭められるべきであるとされている。TikTokにこの考え方を当てはめると、政府がTikTokを禁止することなくリスクに対処できるのであれば、そうすべきだということになる。これは、TikTokが法的な対抗措置に出る上で、中心的な主張となる。

TikTokの対抗措置2:「デュー・プロセス」を主張する

TikTokはまた、アプリの禁止や売却の強制が、デュー・プロセス(法の適正な手続き)の権利に違反すると主張する可能性もある。合衆国憲法は、すべての人は法の適正な手続きによることなく生命・自由もしくは財産を奪われることはない、と規定している。

もし、TikTokが、米政府の決定が恣意(しい)的であったこと、あるいは、より破壊的でない解決策を検討しなかったことを証明できれば、デュー・プロセスの主張に成功する可能性がある。

この主張は、憲法修正第1条に関する主張と同じ考え方で裁かれることになる。どちらのケースでも、裁判所は政府の国家安全保障上の利益と、他の権利(ユーザーや広告主がTikTokで発言する権利、あるいはTikTokがCFIUSとの公正な交渉プロセスを受ける権利など)のバランスを取ることを求められる。

そして、このことが、TikTokを巡る議論になぜこれほどまでに時間がかかっているのかを解き明かすヒントを与えてくれるかもしれない。政府は、どのような立場をとるにせよ、そのプロセスが公正かつ完全であり、その結果が米国民を守るために必要な最小限の制限になることを示す必要がある。バイデン政権は最善を尽くすべく、特に慎重に物事を進めている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事