オッポがこの市場に注力する最もシンプルな理由の一つは、「成長」だ。2022年のスマホ市場全体の売り上げが減少したのに対し、折りたたみ式端末の市場は、グローバルでもオッポの本拠地である中国においても大きな成長を遂げた。売り上げが伸び、市場からのポジティブな反応が強いこの分野の投資を強化するのは自然なことと言える。
オッポは折りたたみ式端末市場で、特に「Find N2 Flip」と呼ばれるモデルをその中心に据える予定だ。チャンは、1000ドル以上のこの端末をグローバル展開の主軸に置く理由をこう説明する。
「私たちは、このプロダクトが実現した進化や、関連するテクノロジーに自信を持っています。今後の製品戦略やマーケティングにおいて、折りたたみ式端末を最優先にするのはそのためです」
オッポはこれまで5年間をかけて6つのプロトタイプを製作し、Find N2 Flipを完成させたという。同社は開発プロセスの多くを秘密裏に行ったが、関連する1600件以上の特許を公開している。
Samsung(サムスン)は、最初にタブレットタイプの横開きの折りたたみ式端末である「Galaxy Fold」を2019年3月にリリースしたが、オッポはそれとは異なるアプローチを取り、グローバルでの展開に際し、縦に開くコンパクトな「Find N2 Flip」をリリースした。
この戦略を取る理由をチャンに聞いたところ、次のように述べた。「縦開きの端末は、従来のバータイプの携帯電話と似たユーザーエクスペリエンスをもたらしつつ、コンパクトさと魅力的なデザインを実現できます。つまり、ユーザーに負担をかけずに新たな体験を提供できるのです」
折りたたみ式端末はこれまでにないデザインを可能にし、メーカーが技術力を発揮する新たな領域を開拓し、スマホ市場の裾野を広げている。
「現状の折りたたみ式端末は、従来の携帯電話よりも少し重く、厚みがあります。しかし、当社の高度な技術で軽量化や薄型化を進め、既存のスマートフォンのレベルに近づけるチャンスがあると信じています」
また、今後の業界の動向で気になるのはApple(アップル)の動きだ。iPhone Proはプレミアム端末市場で支配的ポジションを確立している。オッポのようなメーカーは、アップルにどう対処していくのだろうか。
「アンドロイド端末のメーカーは、独自のアイデアで差別化を図り、アップルに対抗していくことが必要です。だからこそイノベーションが求められるのです。折りたたみ式端末は、ここに来てようやく支持を獲得しつつあります。大事なのはプロダクトそのもので、それがどんなメリットを消費者に与えられるかなのです」とチャンは語った。
(forbes.com 原文)