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2023.02.18 08:30

法曹界にも革命を起こす。AIこそが「真のゲームチェンジャー」だ

ローレンス・レッシグ

「今、Web3は“新種の知的財産法”を築こうとしているように思えます。もちろん、立法府が承認した厳密な意味での法律ではありません。でも、従来とは異なるかたちでクリエイターが作った成果物のマネタイズや管理を容易にしています」
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現実世界におけるこれまでの知財法は、画家や作家、歌手、アーティストをはじめとしたクリエイターが収入を得る道筋よりも権利の管理のほうに重きを置いてきたきらいがある。その点、Web3は流通のコントロール面ではさほど変わらないまでも、再販の際に権利者にも手数料が入るNFTなどを通じて新しい収入のかたちを確立しようとしている。

NFTは司法による強制力が働いているわけではないが、原理的にはブロックチェーンと分散型台帳技術により再販する過程で半永久的・自動的に収入を生み出すことも可能だ。もっともこれは、あくまで理論的な話であり、レッシグも「(成否を)結論づけるには時期尚早」だと認める。

テクノロジーは、文字どおり日進月歩で進化しながら私たちの生活のかたちを変え続けている。Web3が未来の技術だとすれば、現在進行形で世界を変えているのが「人工知能(AI)」だろう。そして、次に変わるのはレッシグの専門領域である「法曹界」かもしれない。
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「私の個人的な見解ですが、AIは現在の法制インフラの大部分を変えるポテンシャルを秘めている、と考えています」(レッシグ)

それも今後、5年以内の話だ。AIにより事務や資料探しといった弁護士や司法書士の業務が自動化・効率化されるというのはしばらく前からいわれてきたが、いよいよその足音が迫っているという。米国では、低所得層の被告が高額な費用のために然るべき弁護を受けられないのはもちろん、裁判すら成立しないケースがある。司法のプロセスを自動化・効率化することで、多くの人々、ひいては社会全体が前へ進めるようになるはずだ。

法曹界に身を置き、米ハーバード・ロー・スクールで弁護士の卵を育成する立場にあるレッシグは、複雑な心情を明かしながらも、社会全体にとっては有意義だと断言する。

「コストの削減により弁護料が下がるのは、弁護士や弁護士事務所にとっては厳しいですが、社会にとってはとてもいいことです。それもAIの進化があってこそ実現しうるのです。AIこそが、“真のゲームチェンジャー”になるかもしれません」


ローレンス・レッシグ◎ハーバード・ロー・スクール教授。専門は憲法学及びサイバー法学。2001年に非営利団体(NPO)「クリエイティブ・コモンズ」を創設した。『REMIX ハイブリッド経済で栄える文化と商業のあり方』(邦訳:翔泳社刊)など著書多数。

文=井関庸介 / フォーブス ジャパン編集部 写真=ヤン・ブース

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