ディテールに表れる、老舗フェラガモの強み

photograph by Masahiro Okamura|text by Masahiro Kogure|fashion direct ion by Hiroshi Morioka|illustration by Bernd Schifferdecker|edit by Akio Takashiro

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は2月号(12月23日発売)より、「フェラガモ」の靴とバッグをピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):この美しい靴とバッグはイタリアの至宝フェラガモの製品です。

小暮昌弘(以下、小暮):フェラガモといえば、今年クリエイティブ・デレクターに就任したマクシミリアン・デイヴィスによる春夏コレクションの発売も楽しみですね。

森岡:今回の新作の靴とバッグはいかがですか?

小暮:靴は光沢あるブラックパテントがアッパーに使われています。タッセルとともに付いているピンをモチーフにしたゴールドのオーナメントには、ブランドを象徴する「ガンチーニ」が取り入れられています。

森岡:今回紹介する女性用のバッグの金具にも使われていますね。

小暮:資料をいただきましたが、このバッグはアーカイブからインスパイアされたアイコンバッグ「THE ICONIC TOP HANDLE」の新しいサイズで、横長のバランスによるエレガントなシェイプが特徴だそうです。

森岡:本当にエレガントですね。フェラガモはイングリッド・バーグマン、マリリン・モンロー、オードリー・ヘプバーン、マレーネ・ディートリッヒなどの往年の女優を顧客にもつブランドでしたが、そういった女優が活躍した時代を彷彿させるバッグです。

小暮:創業者のサルヴァトーレ・フェラガモは「スターの靴職人」と呼ばれていましたから世界的な女優はみんな彼の靴を愛用していました。このバッグはそんなフェラガモというブランドの歴史を象徴するデザインというわけですね。メンズのこの靴もある意味、靴づくりに伝統をもつこのブランドらしいデザインです。ゴールドのオーナメント以外は、とてもクラシックでエレガントです。「タッセルスリッポン」と呼ばれる靴で、日本でも1980年代に大流行しました。

森岡:そういえば、そうですね。あの時代、よく広告代理店の人が履いていました。紺ブレに白黒のグレンチェックのパンツ、そして茶色の「タッセルスリッポン」というスタイルの人、知人にもいました。

小暮:私もよく覚えています。「タッセルスリッポン」もここ数年リバイバルしている靴のデザインですが、この靴のゴールドのオーナメントをタッセルとダブルで付けたデザインには「やられた!」と思いました。
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photograph by Masahiro Okamura|text by Masahiro Kogure|fashion direct ion by Hiroshi Morioka|illustration by Bernd Schifferdecker|edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN No.102 2023年2月号(2022/12/23発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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