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2023.02.16

アップル、複合現実ヘッドセット発売を2カ月延期との報道

Apple CEOティム・クック(Getty Images)

Apple(アップル)は新製品の複合現実(MR)ヘッドセットの発売予定日を4月から6月に延期したとBloombergが報じた。同社は2015年のApple Watch以来、新たな主要製品ラインを展開していない。

これでアップルデベロッパーたちは、根強い問題のテストのために春の発売がなくなったヘッドセットを、Worldwide Developers Conference(WWDC)で披露されるまで待つことになりそうだ。

現在も対応中の最も差し迫った課題は目に関わるセンサー問題、手の制御機構、バッテリー寿命などだとBloombergは書いている。

ヘッドセットは仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を組み合わせた体験を提供するもので、iPhoneのインターフェースに似た新オペレーションシステムを使用するという。

噂されている3000ドル(約40万円)という価格は多くの懸念を呼んでいる。多数のカメラと4Kディスプレイなどの高価な部品を使用していることが理由だとBloombergは伝えている。

アップルはForbesのコメント依頼に対しすぐには返答していない。

報道によると、アップル社内の一部では、数百億ドル(約数兆円)をメタバースに投じているMeta(メタ)が商業的にほとんど成功していないことから、この分野にアップルが参入することに懸念を示しているという。アップルのティム・クックCEOは「普通の人が、メタバースとはどのようなものか言えるとは思えません」と、メタをはじめとする主要テック企業のヘッドセットへのアプローチを公然と批判してきた。

クックは拡張現実こそがゲームチェンジャーであると予言し「あらゆるものに影響を与える奥深いテクノロジー」だと説明した。アップルの経営陣はこのヘッドセットがApple Watch以来最大の新たな収入源になることに賭けているが、同社の長期にわたる主要製品にひと工夫を加えて売上げを伸ばすことにも期待している。Bloombergは先月、アップルがタッチスクリーンMacBookの開発を進めていると報じた。同社の共同創業者で長くCEOを務めたスティーブ・ジョブズが、2011年に死去する前まで頑なに反対していたアイデアだ。

クックの推している拡張現実と、メタCEO、マーク・ザッカーバーグが売り込んでいる仮想現実の大きな違いは、拡張現実では現実世界の環境をフルに認識しつつ、ヘッドセットが現実空間に重ねて映し出す仮想コンポーネントとやり取りすることだ。仮想現実は現実環境を完全に切り離して、ヘッドセットユーザーをデジタル世界に没入させる。メタのヘッドセットは仮想現実と拡張現実、どちらの体験も提供するが、ザッカーバーグは仮想メタバース(仮想世界の広範なコレクションと考えられる)こそが革命的な技術イノベーションであり、同社がパイオニアとして開発していくと繰り返し述べている。

アップルは、数年来秘密プロジェクトとして開発していた自動運転車の発売日も繰り返し延期してきた。最新の噂では2026年が発売目標だといわれている。同社は2022年、自社の自動車がハンドルもペダルもなしに走るという計画を断念したと報じられた。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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