観光地じゃないハワイ。経営者が語るホノルルセンチュリーライド

ホノルルセンチュリーライド2022(提供:ホノルルセンチュリーライド受付事務局)

「僕はエンジニアなので、車や時計などの“機械”が好きなのですが、自転車は動力がないんですよね。カーボンによる軽量化やギアの効率などテクノロジーを駆使していますが、動力は自分。力を入れればそれがほぼ100%伝わって、前に進んでいく。最先端テクノロジーと自然を楽しむというアンバランス感が面白かった」

「観光地ではないハワイを見出せた」という高橋氏は、普段から旅先で“ただの観光客”にならないよう長めに滞在し、現地で暮らすことを大事にしている。今回も前入りし、練習として地元のコーヒーショップまで走れたのが良い時間だったという。

ダイヤモンドヘッドまで走った本番前日の練習(写真提供:高橋雄介)

その練習を共にした及部氏は、初のハワイ滞在。「ローカルな海岸や山の麓、農村を走って、現地の生活が見えた」ことでイメージが変わったと明かす。


「火山島だから、山と海が近くてプリミティブ。辛さもあるのだけど、大自然の中で有酸素運動するというのは、いいバーで飲むよりも、ずっとラグジュアリーな時間でした」

自転車はメディテーション

自転車というスポーツについて、安田氏は「メディテーション」であり、忙しいビジネスパーソンにほど向いていると説く。

「ランは、疲れたら止まらなきゃいけない。走りながら休めない。自転車は少し足を止めても進んでいく。走ろうか、足をつこうか、自問自答を繰り返しながら自分と向き合う。普段とは違うことに集中することで、脳もリフレッシュします」

(提供:ホノルルセンチュリーライド受付事務局)

「体を鍛えて脳の血行を良くする」ことを意識し、毎朝2時間の練習を欠かさない高橋氏も、「走っている間に先のことを考えることができる」という。そして、組織のために時間を取られがちな経営者だからこそ、 “自分のための時間”を確保するために、どんなに忙しくてもレースの予定を入れることが有効だという。


「出ると決まったら練習しないと走れないし、逃げるわけにもいかない。例えば3カ月前にホノルルセンチュリーライドにエントリーしたら、無理やりにでも自分に向き合う時間がとれる。すると、それ以外の時間も無駄がないように最適化できて、結果、もっといい仕事ができたりするんですよ」

このアプローチに、「そうあるべきですね」と唸るように同調する3人は、いわば同じ悩みを持つ仲間だ。

現地ではライド以外でも、悩みを共有したり、仕事の相談をしたり。帰国後に打ち合わせをするなど、実際に協業も動き出しているという。

高橋氏が現地で「Jack Johnsonの行きつけ」と勧められたレストランで(写真提供:高橋雄介)

ある日、取材にあわせて集まった8人は、ハワイよりずっと前からの仲のように、打ち解け合い、笑い合っていた。同じ目的を持ち、困難や成功を共有する。それは仕事でもあり得る話だが、利害関係のない仲間と、日常から離れた場所であると、一層特別なのかもしれない。

編集=鈴木 奈央

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