観光地じゃないハワイ。経営者が語るホノルルセンチュリーライド

ホノルルセンチュリーライド2022(提供:ホノルルセンチュリーライド受付事務局)

「20kmおきにあるステーションで、何度諦めようと思ったことか。特に上り坂を前にしたとき。でも、上ると必ず下りがあるんですよね。ラストは及部さんが伴走してくれたからゴールできた」と中村氏。

「助け合いが楽しかったですよね。前後を交代しながら、前の人が風を受け、その間、空気抵抗のない後ろの人は足を休める。一人だったら絶対に無理だった」と同調する及部氏は、バイクを始めて約3年。最初はシクロクロス用のフレームとコンポにオフロード用のタイヤで河川敷などを走っていたが、タイヤを変えて改造してから、より早く、より遠く、山や川まで行けるロードバイクにハマっていった。
及部氏のバイク。タイヤ、フレーム、ハンドルなど細かく分解してハワイに持ち込んだ(本人提供)

多方面からベンチャー支援に奔走する経営者とあって、「夜も仕事関係の会食が多くて、なかなか息抜きができない」と思っていたところ、今回の誘いがあり、普段接点のないメンバーと走れることにも魅力を感じて参加を決めた。

本番を想定したプロの備え

参加者の中でダントツの自転車歴を誇るのが高橋氏だ。高校ではサッカー部、大学では体育会アイスホッケー部に所属。大学院時代にサーフィンを経てロードバイクに辿り着くと、自転車レースの名門「渡邊レーシング」に加入して実業団レースに出場した。

「その頃は週に1000kmぐらい走るほど熱中していて、大学院には1年余分に通いました(笑)。博士をとってからは、独立、渡米などもあって、どちらかというとランニングをするようになって。最近は山岳地帯を100マイル走るレースなどに参加しています」

今回、自転車は久しぶりということで、同じようなコースプロフィールで練習をしたという。長野の富士見町まで180kmを走り、何時間後に体のどこが痛くなるのかを確認。「僕は科学者なので、次に起きないように仮説を立て、検証する」という言葉の通り、事前にテーピングをするなどして備え、本番では、100マイルを休憩なしの5時間半で完走した。

今回一緒に参加した8人。朝6時のスタート前はまだ暗い(写真提供:高橋雄介)

「10km続くようなキツい山もなく、気候もよく、走らされてしまうコース。タイム計測も順位もないファンライドでしたが、先頭集団のちょっと後で、30位以内ぐらいだったと思います」


その高橋氏のペースに「日本人で唯一ついていけた人」が、安田氏だ。10年前にロードバイクを始め、同時期に立ち上げたセールスフォースの自転車部では、2カ月に1回のペースで合宿を企画。国内外どこへでも「出張に海パンを持っていくような感じ」で、自転車を持参しているという。

今回も本来なら100マイルにエントリーしたかったが、サンフランシスコ出張の合間を縫っての参加で、50マイルに参戦。自転車の前後にGoProをつけ、メンバーの撮影に注力した。

観光では知れないハワイに出会う

ハワイやホノルルと聞けば、ある程度想起されるイメージがある。日本語も通じるフレンドリーな観光地、海外ウエディングの定番、別荘を持つエグゼクティブのリゾート……それがライドという視点になると、どう見えるのか。

頻繁にハワイを訪れるという中村氏は、「普段はホテルにこもるかゴルフに行くか」という過ごし方。それが、山奥をひとりで走る時間もあった今回のライドは、「海や山が視界に入ってくるスピードが良かった」という。また、独特の視点で自転車の魅力も知った。
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編集=鈴木 奈央

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