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2023.02.15 16:30

評価額320億円の物流ソフト「Slync」創業者が詐欺罪で起訴

Slyncの創業者のクリス・カーチナー(Getty Images)

Slyncの創業者のクリス・カーチナー(Getty Images)

Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)が主導した資金調達ラウンドで、評価額が2億4000万ドル(約319億円)とされた物流ソフトウェア企業「Slync」の創業者が詐欺罪で起訴された。

米証券取引委員会(SEC)は2月14日、Slync の創業者のクリス・カーチナーが6700万ドル(約89億円)以上の証券を不正流用し、そのうち2800万ドル(約37億円)以上を個人的な支払いに充てたとして告発した。司法省は、14日に提出した別の訴状でカーチナーを電信詐欺と2000万ドル(約27億円)の不正流用で告発している。

これらの告発は、FBIが14日朝にテキサス州のカーチナーの邸宅を急襲し、敷地内から複数の高級車をレッカー移動した後に行わた。カーチナーは、最高20年の禁固刑を科される可能性がある。

SECのニューヨーク地域事務所の副所長は声明で「カーチナーはSlyncの事業に関する虚偽の説明で、投資家から数千万ドルを騙し取り、その大部分を会社から盗んで自身の贅沢な暮らしに注いでいた。彼は、従業員に給料を払わなかった」と述べた。

フォーブスは2022年7月に、カーチナーが複数の不正行為の疑惑で会社から追放されたと報じていた。

SECの訴状によると、カーチナーは2020年3月から昨年8月に解雇されるまでの間、Slyncの財務状況に関する虚偽の説明を取締役会に行っていた。彼はまた、Slyncが投資家から集めた資金のうち、数千万ドルを会社の銀行口座から個人の口座に振り込み、2800万ドル以上を不正に流用したという。さらに、個人的な経費を直接、会社の口座から支払ったケースもあるとされる。

司法省によると、カーチナーはSlyncの資金2000万ドルを個人の口座に振り込み、プライベートジェットの購入とスポーツスタジアムの豪華スイートの支払いに充てたという。Slyncは2021年2月に発表したゴールドマン・サックスが主導したシリーズBラウンドで、評価額2億4000万ドルで6000万ドル(約80億円)を調達していた。

また、カーチナーによる資金の不正流用のうちのいくつかは、Slyncが数カ月にわたり従業員の給与を払わなかった時期に行われていたという。

「投資家と従業員らは当然ながら激怒しており、我々も彼らに同情する」と連邦検事は声明で述べ、カーチナーの責任を追及すると宣言した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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